第14話






なあ、
まだ俺の声はとどくやろか?






第14話






あれからまた季節はめぐりめぐって2年経った。




当日高3だった俺も、今では医大生になった。
それでもあいかわらずこの神社にくることは日課のまま。


跡部にはいい加減諦めろ、と言われたんやけどサクラへの想いを捨てられなかった。跡部が俺のこと想って言ってくれとるんわかってんで。
だけど、俺にはもう彼女以外考えられんねん。




「おっ、兄ちゃんまたきたのか。こっの、暇人め!」


「医大通ってんねん。暇なわけないって」




工事のおっさんと軽口をたたく。この間聞いた話だともう寿命の桜の木を切り倒して、新しいのを植えなおすらしい。


真っ先にサクラの顔が想い浮かんだ。俺にはどうすることもできない。変わりに最後のときまでできるだけ一緒にいようと思ったんや。それからは時間を見つけては頻繁に足を運んだ。




「よう今までがんばったな。きれいやったで……」




木の幹の感触を確かめるかのようにゆっくりとなでる。




「おつかれさん、ありがとな」










バキッ











大きな音がした途端桜の木がゆっくりと倒れた。
驚いて、飛びのけば間一髪で下敷きになるのはまぬがれた。


ここらでも1番古い木だったからな、駆け付けてきたおっさんたちの声が遠くで聞こえる。






ああ、これは夢なのか。
夢ならお願いやさめんとって。




















『やっとあえた』










とまっていた時間が
動きだした瞬間だった。






110210

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