「あのー、取りあえずここにおいてくれませんか?」汗
02.home
今までにない剣幕で頭を床にこすりつけた。じ、地味に痛い!
「知ってる人はたくさんいても、私のことを知る人はいない。この世界で…帰る場所なんてないんです。次の島まででも構いません、お願いします!」
「グラララ、次の島までなんて言わずにここにいりゃいいじゃねえか」
『おやじっ!』
恐る恐る上を見上げたら、白ひげ本人が。でかっ!
覇気に怯みそうになり、息をのむ。
「話はすべて聞いた。おもしろい娘じゃねえか」
「あ、どうもです。じゃなかった!ほんとに私ここにいていいんですか…」
「あたりまえだ。詩央(しちか)、俺の娘になれ」
差し延べてくれた大きな手を取り、そのままおやじ様に抱き着いた。
「おやじ様、ありがとうございます!」
「グラララ。息子たちよ、詩央(しちか)の入隊を祝って今日は宴だ!」
食べ物や酒がどんどん運ばれ、中心に連れてかれる。隣にはおやじ様。
『かんぱーい!!』
あっという間に歌いだしたり、踊りだしたりと賑やかになる。
「ちゃんと食ってるか」
「はい!どれも美味しいから、食べすぎちゃいそうですよ」
「にしても、お前幸せそうに食うんだな。俺の弟みたいだ」
「ルフィーみたいにがっつきはしませんがね」
「ルフィーのことも知ってんのか!」
「まあ、一応……」
だって主人公ルフィーだし。
「でも、あたしの1番(好きなキャラ)はエースさんですから」
「なっ……」
「おーい、エースが詩央(しちか)口説いてるぞ!」
周りの奴らがひやかしてくる中、目の前のこいつは、違いますよ、あたしが口説いてるんですー、なんてこと言って笑ってやがる。
「だあああ!!酒だ、酒持ってこい!!」
「エースの奴、やけ酒かよぃ」
「マルコさんだ」
幸せを呼ぶ青い鳥でも、こうのとりでもなくて、不死鳥のマルコさん。
「不死鳥で悪かったな」
「ぶふっ!き、きこえ「その口がぺらぺらとしゃべってくれたよい」
「………えへっ、痛!なにも殴らなくてもいいじゃないですかー」
うぅっ、と口を尖らせながら、頭をさする。
「こんなんだから頭がパイナップルになっちゃうんだ」
「なにか言ったか」
「ごめんなさい」
詩央(しちか)の頭をくちゃくちゃと撫でてやれば、にまっと笑った。
にこっ、でも、にかっ、でもないよぃ。
にまっ、とにやけてんだ。
「しあわせー。マルコさんみたいなお兄ちゃん欲しかったな」
「エースじゃなくてか?」
「もうなに言ってるんですか、エースさんは旦那さんですよー」
おーい、エース。
詩央(しちか)がもらってくれるってよ。
なにを?
お前をだよぃ。
ぶっ、ごほっ!
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