碧空の下に君たち | ナノ







『斗未姉様、那璃姉様おはようございます!!』


「お、おはよ…」




やっと元の日常に戻れると思ったら、今度はお嬢様方に囲まれるようになりました。






たまたま那璃のクラスで昼食をとっていたら昨日呼び出されたお嬢様隊のひとり、えーと…




「テニス部ファンクラブ会長、椿雅。今日はお二人にお話しがあって来ましたの!」




ファンクラブ会長だったんだー、なんて考えていたら雅ちゃんが近付いてきて…ちょ、顔近いんだけどおお!!




「私たち昨日お二人に言って頂けたことで目が覚めました。
ですからテニス部個人ファンクラブを統合して庭王ファンクラ部として活動することにしましたの!」


「はあ…(那璃、どうしよう…)」


「(頑張れー)でうちらとなんの関係があるの?」


「じ…実は斗未さんのあの美しい動きに感動しましたの!ああ、まるで私たちを正しく導いてくれる女神のようでしたわ!!」




うっとりとする雅に、引きつる斗未。え、うちはどうすればいいわけ?しかも、動きって捻ったアレのこと?




「那璃さんのお言葉にもグっときまして、それでお二人のファンクラ部も作りましたの!
そちらの会長も私がやるのでご挨拶をと思いまして」


「まあ、惚れたっちゅうことやな」


「うえ、マジで?!」




どこから湧いて来たかわからない変態はおいといてー、




「雅ちゃん、気持ちだけでいいから。
うん、お願いだから気持ちだけにして下さい」泣




さりげなく心中の声まで漏れちゃってるよ!




「そんなことできませんわ!
それに今回はルールも増やし、呼び出しなども取り締まるようにしますの。あのようなことを無くすために」




よかった、わかってくれたんだ。




「なんか凄いな…。大変だろうけど頑張れよ!」


「ジャッカルの苦労に比べたらましだよ」


「お父さん無職だもんね」


「うっ…」




仕事見つかるといいね、と遠い目をして言う斗未と那璃。裏腹にフラフラしながら教室を出ていくジャッカル。




このふたりが毒舌なんはわざとかなんか?
ほんまようわからんは…。




「だから、テニス部の皆様にもお二人にも迷惑はかけませんから安心して下さい!」




満足そうに言い切った雅ちゃん。顔が必死過ぎて恐い。
てかその前にいろいろ突っ込もうよ!しかも、いつの間にかうち手握られてるんだけどおおお!




「斗未さん、那璃さん…いえ、姉様と呼ばせてもらいます!」


「わ、わかったから!だから、ちょっと落ち着いて。近い近い近い!!」


「ありがとうございます!!では、私はやることがありますので失礼しますわ」




手を振って、走り去っていく。教室は嵐が去ったかのように、静かになる。いや、去ったんだけどね。




「すっかり人気者だね」


「あたし普通でいいんですけど」


「キャー、お姉様と幸村くんのツーショットよ!」


「そこ!写真は規定28条によって写真部のみ撮影可能になってますのよ!!」




腕章をつけ、張り切る雅ちゃん。他にも何人かが腕章をつけてる。幹部なのだろう。




「雅ちゃん、頑張ってんね」


「椿さん、斗未が褒めてるよ」


「精市?!」


「斗未姉様!ありがとうございます、愛してますわ!!」


「なんか目から変な汁が出てきたよ…ねえ、泣いていい?寧ろ泣かせてくれ」




何故そこで愛してるが出てくる?あたしは女だああ!!




「朝から凄い騒ぎじゃの」




そうもうひとつ変わったことがある。




「俺の斗未が皆に騒がれてばかりは、やっぱり寂しいのう」




さりげなく腰に手をまわし、自分のほうに引き寄せる。周りからは黄色い歓声があがる。




「あはは、いつアンタのものになったんだよ」


「出会ったときからに決まっとるぜよ」


「仁王、俺を怒らせたいの」




もう十分怒ってらっしゃいますよ!!背後からはなんか滲みでてきてる、こう…ドス黒いもやもやっとしたものが。




「あの…あたしを挟んで会話しないでくれませんか」




斗未の顔見てをため息をつき、うなだれる幸村に仁王。そんなにあたしは残念な顔してるのか、軽く失礼だなコノヤロー。




「ええい、ややこしい!こうすればいいでしょ、ほら行くよ」




右手は仁王、左手は幸村と繋いで3人で歩き出す。と言ってもあたしが勝手に引っ張てる感じがする。




「斗未には敵わんぜよ」


「仁王、俺は負けないから」


「どうじゃろな」




ああ、あたしに普通の日常は戻って来るのでしょうか





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加筆修正11.01.21


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