「那璃、朝だよ。ご飯出来てるから早く食べちゃって」 「んー…」 もぞもぞと布団から出て、リビングに行けば朝ごはんの美味しそうな匂いが漂っている。 うちは神奈川から通うには遠いから寮生活をしている。因みに立海のみんなも寮に入ってたりする。牧野みたいに家が少し遠かったり、帰るのが面倒くさくて寮に入る人も何人かはいるみたいだけど。 「ほら、朝練遅れるよ」 「あわわ、急いで食べるから待って!」 寮生活は少し不安だったけど、相手が那璃だったから今は不安もなく満喫して過ごしてる。寮の各部屋に台所やトイレ、バスルームまであるのにはかなり驚いたけど。 食べ終わった食器を片付けて、学校まで向かう。 「那璃、牧野、一緒に行こうぜぃ」 「ブンちゃん、はよっス」 「牧野さん、寝癖ついてますよ」 「あちゃー、またやっちまった」 「たるんどるぞ、斗未」 「たるんでるのはブン太の腹よ!」 「あいかわらず、お前さんはおもしろいのう」 「確かに丸井はその身長で仁王と同じ体重なのは太りすぎだな」 「さすが柳、だてにデータマンやってないね」 「言い過ぎだろぃ、マジで傷つくって!」 普段と変わらない会話。 心地よく会話が弾む。 「あっジャッカル、赤也は?」 「はあ…またいつもの寝坊だろう」 「牧野、手」 「はいはい」 始業式の日以来こうやってみんなで登校することが多くなった。多少メンバーは変わったりはするけど。 それでも変わらないのは精市と手を繋いで登校すること。前に断ろうとしたら黒いオーラで脅された。 いや、断ったら軽く地の果てまで行けそうな勢いだったよ。自分の命は大切にしないとね!! 「こうしてお二人を見てると恋人見たいですね」 「何言ってんのよ、柳生。あたしに精市なんて勿体ないし、ありえないっしょ」 「はあ…どうして気付かないかな」 「幸村も気の毒じゃな」 「なにが?」 盛大に溜息をつかれる。 あたし変なこと言った? なんかしでかした系ですか?! 「ほら、遅れるから行くよ」 「ちょ、そんな引っ張んないで!」 「フフ、牧野より足が長いから歩くの早くてごめんね」 「短くてすいませんねーだ」 なんだかんだ言っているうちにテニスコートに着いた。朝練は洗濯とドリンク作りを中心にする。 人数が多いからこれだけでも結構大変で、慣れるまでは本当死ぬかと思った。 「きゃー、跡部様こっち向いてえ!!」 「手塚さーん!!」 黄色い声を聞きながら仕事する。暇なら切実に手伝って欲しい。うん、やらしたら怒られるから言わないけど。 誰に怒られるかって? もちろん幸村くんにですよ。 「朝っぱらからよくやるよ、その根性は拍手もんだわ」 「しばらくしたらきっと慣れるよ。さ、仕事仕事」 那璃は慣れてるのか気にせずに仕事に戻る。気にするなって言ってもテニスコート囲んでキャーキャー言われてたら気にしないほうが無理だよね。 ああ、黄色い声援浴びてるあいつらの方が疲れるか。 実際、テニスやってるときは生き生きしててかっこいいもんな。 なんて考えながら洗濯したタオルやユニフォームを干してたら、後ろから肩を掴まれた。 「ぴぎゃっ!!」 「急に変な声出さないでよ、びっくりするじゃん」 「リョーマか、ごめんごめん。でどうしたの?」 「タオルどこにあるかわからないから聞きに来たっス」 「じゃあ部室にあるから取りに行こっか」 コクンとリョーマがうなづくと部室に向かって歩き出す。 なんですか、この子。 めちゃくちゃ可愛いんですけどおお!!今ので十分萌えたよ。 はっ、これじゃあたしまるで侑志と同じじゃない!! 「牧野先輩、顔やばいっスよ」 「リョーマが可愛いからだよ」 「意味わかんないし、そんなこと言われても嬉しくないから」 「照れんなー」 「俺の言ったこと聞いてた?」 タオルを渡して、コートに戻れば正座して真田と跡部の説教を受ける赤也とジロちゃんがいた。 毎日のことなのであえて気にしない。あ、ジロちゃん怒鳴られた。 こうしている間に朝練も終わった。仁王たちとクラスに向かう。 上履きに履き変えるために下駄箱を開けたら大量の手紙が落ちてきた。うん…ラブレターだな、きっと。 むしろそう思わせて下さい。 「あたしの下駄箱はポストじゃないですよー」 「なあ、これヤバイんじゃ…」 「あはは、牧野うちも入ってたよ☆」 「わあ、奇遇だね。あたしもラブレターが大量に入ってたよ」 「「お呼び出しのね」」 取りあえず、手紙を持ってそれぞれの教室に向かう。波乱な予感がバリンバリンします。 next 加筆修正11.01.21 |