碧空の下に君たち | ナノ







「なんちゅー重さだ」




今日は薔薇が似合うあの俺様何様ナキボクロ様に頼まれて(正しくは食べ物につられた)、スポーツショップにドリンクを買いにきた。




とりあえずブラックカード普通に渡されたときは心臓が口からリアルに出るとこだった。やっぱ金持ちはやることが違うよね。でも、だからってさ……




「あたし独りでドリンク2箱買ってこいはないだろ!」泣






その頃…






「へくちっ!うちが可愛い過ぎるから噂されてんのかなー」


「断じてありえません」


「チッ、えせジェントルマンが」




那璃はマネ業をしながらお留守番中






「欲張ってテーピングまで買うんじゃなかった…」




溜め息をつくも、どうしようもないのでテーピングは鞄に入れて持つことにする。




「問題はこれなんだよね、あたし独りじゃ1箱が限界だし」汗




1箱12キロあるのに独りで買ってこいだなんて、鬼だ!
一緒にタカさんか、かばっち連れてくればよかった。




「ん?どしたの、困ってるなら話し聞くよ」


「オ、オゥレンジ!」


「あはは、君変わった子だね。
んー、ラッキー☆」


「何が?!」




あまりにも髪のオレンジ畑が印象的だったから片言になってしまった。
あ、この人と初対面だった。




「だーから、君みたいに面白い子に出会えてラッキー☆てことさ」


「はあ……」汗


「で、どうしたの?」


「実は…」




今の状況を一先ず説明する。
するとオレンジくんがもう1箱を一緒に学校まで運んでくれることになった。




「なんか成り行きでごめんね」


「困ってる女の子をほっとけないからね」


「あざーす。そういえば…」




自己紹介してなかったね、と笑う彼女。
特に綺麗や可愛いってわけではなかったけど、独りで格闘する姿が少し気になって声をかけてみた。一言で言えば好奇心?




「俺は山吹高校の千石清純」


「あたしは斗未牧野。好きに呼んでくれていいから」


「俺は清純かキヨて呼んで」


「二択かよ、オレンジくんは?」


「んー、それはちょっと…」


「じゃあキヨでいいや」




訂正。かなり気になる。第一俺がナンパして普通に接する時点で強者。全くの自然体の子なんて初めてだよ。




「キヨー、オレンジ頭の清純くーん。聞いてんの?」




それに、こんなこと普通会って間もない人に言わないでしょ。




「ごめんごめん、ぼーっとしてた」


「まあいいや」




えっ!いいの、呼んでおいて放置プレイなの?!




「なんかブツブツ言ってるけど大丈夫、頭悪いの?」


「せめて痛いにしてくれる。悪いだと俺バカって言われてるみたいじゃん」


「あー、なるほど」




この子本当大丈夫?
日本人なのに日本語すらちゃんと話せてないよ!!




「それよく言われんだよね」




こ、心読まれ「口からただもれ」


「じゃ、今までのも…」


「ちゃーんと聞こえてるよ。アンラッキー☆てか」


「あはは、なんかもう俺帰りたい…」泣


「ドリンク運んでからね」




やっぱりそこはきちんと持ってて貰わないとね。でないと後で鬼のような顔をした跡部に何を言われるかわからない。




学校が見えてくる。校門の前でいいと言うと、部室まで運んでくれると言うのでお願いすることにする。




「牧野先輩帰ってきたみたいっスよ」


「なあなあ、切原。牧野先輩と一緒に歩いてんの山吹の千石さんじゃね」


「うわ、バカ!桃城…」


「げっ、不二先輩に幸村さん…」


「死なないことを祈るしかないですね…」




部室にドリンクを置き、テーピングなどは一先ず机の上に置く。




「はい、これあたしのアドレスと携帯の番号」




お礼に何かしようとしたらアドレスでいいと言われたので紙に書いて渡す。
そして、外に出たと同時に誰かに体当たりされた。




「牧野、柳生が酷いんだよ!うちのこと可愛くないって」


「柳生くんは本当のこと言ったんじゃない?」


「き、きききき清純!!なんでここにいるの?!」




那璃が急に慌てだす。事情がよくわからないうえに、後ろからは黒いものが迫ってく…えっ!




「千石、これはどういうことかな」


「あ、あたしがドリンク2箱持てなくて困ってたらここまで一緒に持ってきてくれたの」


「そうなんだ、だからってアドレス交換する必要はないよね」


「あたしがお礼に渡したんだ!!」




なんでアドレス交換したこと知って「フフ、企業秘密…」




そうだったね、すっかり忘れてたよ。読心術のことを!




「お、重かったのにキヨは運んでくれたの、それだけ。以上です、はい!!」




不二が開眼した!恐怖倍増、てか目開けられるんだ…。




魔王たちからはただならぬものが出続けている。




「跡部くんが牧野ちゃんに独りで2箱も買いに行かせたのが悪いんじゃない?」




千石の言葉を聞くとふたりは跡部に向かっていく。
生きろよ、跡部!
涙ながらに心の中でエールを送る。




「…俺ってラッキー」汗


「とりあえず帰れ!うちの為に帰れ、寧ろもう来るな!」


「言われなくても帰るよ。あのふたりに何もされないうちにね。またね、牧野ちゃん」


「うん、本当ありがと」


「ハアハア…」


「那璃どないしたん、ハッ俺の惚れて萌え「忍足と一緒にしないでくれる」




ワァオ、那璃まで若干黒くなってるよ!




「那璃先輩は千石さんと知り合いなんですか?」


「知り合いもなにも従兄弟だよ」


『ええッ!』




その頃の跡部はと言うと魔王ふたりに新しい魔術の実験台にされていた。テニスコートからは跡部の絶叫が響き渡っていたとかなんとか。





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加筆修正11.01.21.


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