仁王夢




くぁ、と仁王は退屈そうに欠伸をした。
黒板の前で数学教師が何やら数字を書き連ねているが、毎日のようにある授業では面白みもなんともない。


(…つまらん…)


教科書のみを机に広げ、窓側の席なのをいいことに空の向こうを頬杖をついて見上げる。
青い空は嫌味なくらいに広がり、今自分が教室という四角い箱に閉じ込められているのが妙に虚しく感じた。

視線を前に戻せば、ひとつ丸まった背中を見つけた。


(あー…なまえ寝とるの、あいつ文系って言ってたのに大丈夫なんか)


クス、と音をたてないようにして笑う。
自分よりも前の席に座る恋人は、机に突っ伏して寝ている。


(うーわ、頭撫でたいぎゅーってしたい)


時折ちらりと見える寝顔に、こらそんな角度だと隣の奴に見られるじゃろと心配しつつ、あぁなまえかわえぇとか思ったオレは相当ダメかもしれない。


(今日はめちゃめちゃに甘やかしたいのー…)


少しだけ開いていた窓から風が吹いてオレの前髪を遊んでいった。
それが妙に心地良くて、ますますそんな気分になった。





春の病


(睡魔と君の可愛さは倍増!)






END







風船花火の香月様より誕生日プレゼントとして頂きました^^















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