桜舞う今日この頃あたしは高校生になった。
新しい制服に袖を通してみるとちょっと嬉しくて、自然と顔が緩む。
買ったばかりのローファーを履いて、入学式へ向かう。
「なまえ、俺と一緒にいるために帝京を受けてくれるなん「あんたのためじゃないから」
忘れてた。あたしが入学する高校、帝京高校には大和猛という
変態がいることを。
「はは、そんなに照れなくても大丈夫!なんたって俺がいるんだから」
「話し聞いてた?あなたという存在が既に危ないんですけど」
話しの通じないこの人、大和猛とは不本意ながら幼なじみという関係。
アメリカ行って少し大人しくなるかと思ったら、逆にパワーアップして帰ってきた。もちろん変な意味でも。
「ぎゃあああ!!ちょ、まっ…うわああ!」
「ああ、なまえのいい匂いがする」
いきなりのシーザーズチャージをかまされ、瀕死状態のあたしは今大和の腕の中。
「ハッ、どうしたんだ?!まさか俺の熱い抱擁が嬉しすぎて…」
「殺人的なタックルされて生きてるあたしが不思議でたまらないよ」
「等身大の愛を受けとってくれたんだね!」
「言葉のキャッチボールができてないいい!」
なんなんだ、なんなんだ!
さっきまでの乙女ちっくなあたしを返せ!
入学式当日からこんなんじゃ先が思いやられる。
あれ、視界がぼやけてくるよ。
「泣くほど嬉しいんだね!可愛いすぎるよ、なまえ」
逆だよおおお!!
「うえっ?!!」
「そんな可愛い顔されたら我慢できないよ」
「降ろせ!この馬鹿!!」
「言葉攻めが好きなんだね」
「噛みあってねえええ!」
お姫様抱っこされた。しかも、なんかハアハア言ってんだけどこの人。
あたし、ピンチっぽくない?
「言い忘れてたけど制服似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます」
まともなことも言えるんじゃない。
「髪も伸びて、大人っぽくなったね。でも、胸はまだ発展途上みたいだけど」
前言撤回。やっぱり普通じゃない。人が気にしてることを!
「こんの変態!!小さくて悪かったわね!」
「俺が大きくしてあげようか、もんd…ぐはっ!」
大和いや、変態にあたったのはアメフトのボール。こんな華麗に投げれるのは……
「花梨ちゃん!」
花梨ちゃんとは中学が一緒だったんだ。好きに呼んでいいって言ったから、あたしはこう呼んでる。
「なまえ、大丈夫やった?」
「なんとか。本当助かったよー」
「入学式遅れるよ。体育館まで案内しはるんで行こう」
「うん、これどうしよう」
足元に転がってる大和。相当強く当たったみたいでぴくりとも動かない。
「そのうち起きるんやない。ほっといて行きましょ、な?」
体育館へ向かって歩きだす。
これからどんな高校生活が待っているんだろう。
大和猛に関わった以上平穏な学校生活は望めないだろうけど。
始まりに君と再び出会ったのは幸か不幸か。
グッバイ、平穏なスクールライフ。
思うがままに。のライガちゃんからのリクエスト。変態に成り切れなかったです……。
これでよければ、いや、やっぱり押し付けます(笑)
後、卒業&高校入学おめでとうございます!
100314
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