不二夢
帰宅途中に少し寄り道をしてみた。目の前には大好きな彼の背中が見える。
「もう周助ってば…」
彼の隣にいるのは学年一の美人。幸せそうに笑いあうふたり。
「別れよう、周助…」
「どうして、俺はなまえのこと…」
「無理しないでいいんだよ、あの子のこと好きなんでしょ」
「………」
「あたしのことは気にしないで、周助には笑っていて欲しいから」
涙をこらえ、精一杯の笑顔で言い切った。
沈黙の後に繋がれた言葉は、1番聞きたくなかった言葉。
「ごめん、今までありがとう」周助の中にあたしはいなくて、あの子がずっといた。今のように笑った顔を見たことはない。
あたしといても遠くにいる彼女をうつしていた。どんなに時間を一緒に過ごしても距離は縮まらなかった。
「なまえ…?」
ふと周助が後ろに振り向いた。あたしはただ、無我夢中で来た道を引き返した。
やめて、もうあたしの名前なんて呼ばないで。心の奥に閉まった気持ちが溢れ出しそうになるから……
気が付けばふたりでよく帰りによっていた公園に来ていた。周助との思い出が次々とよみがえってくる。
「周助、あたし本当に周助に幸せになって欲しいんだ。幸せにしてあげられなくてごめんね…」
暗くなりかけた空を見上げると、頬に涙が伝った。
「ねえ、周助。大好き、大好きだった。ずっと傍にいたかった…」
「ありがとう、さよなら…」
前に進もう、ありがとう貴方への恋心。
叶えられなくてごめんね、
手を伸ばしても
貴方にはとどかなかった
風船花火の香月様へ。
相互記念。
うーむ、切ないというよりか若干シリアス入った?
お持ちかえりは香月様のみでお願いします(^^)
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