仁王夢




「あだっ!」




授業中、何かが後頭部を直撃した。後ろの席の仁王を睨みつけると、頭に直撃したであろう紙を指さした。




「ったく、わざわざ投げることな…ぶふっ!




紙には今授業をしている先生の似顔絵が書かれている。頭には擦れたカツラがのっている。




「ちょっ、先生カツラじゃないでしょ!」


「まあ見てんしゃい」




すると、仁王はノートから紙を切り取り丸めてボールのようにすると先生の頭に向かって投げつけた。




紙は見事に先生の頭に当たる。と同時に…




「だ、誰だ私にこんな物を投げ付けたのは!!」


えええ!!擦れた、先生の髪擦れた!本当にヅラだった、てどうすんのよ!!」




すると仁王は手を挙げて…




「先生ー、みょうじさんが投げましたー」


「みょうじ、お前の仕業か!」


「違っ、こいつだしやったの!」


「ほれ、なまえ謝りんしゃい」




くそ、こいつ笑ってやがる!!とりあえず謝り、席につく。なんで謝ってんだか…




「仁王、あんた覚えてなさいよ」


「絵の通りになったじゃろ」




ため息をつき、今度はちゃんと授業を受ける。するとまた頭に衝撃が走る。




「ぐえっ!」


「カエルが潰れたような声だしなさんな、一応女じゃろ」


「誰のせいだよ!一応じゃなくてあたし女だから」


「ハッ!」




鼻で笑われた!とりあえず投げ付けられた紙を開く。中には消しゴムが入っていた。


「痛みの原因これか!あれか、あたしに恨みでもあんのか。ちくしょー」


「コントロールするための重りぜよ、そんなこともわからんとはまたまだじゃのぅ」




両手を上げ、首を左右に振る仁王。




「ヅラに当てたのにコントロール悪いわけなくね!」


「みょうじ、またお前か!廊下に立ってろ!!」


「先生!あたしじゃなくて全て仁王のせいだって!!」


「カリカリしなさんな、ほれ行くぜよ」


「待ちなさい、まだあたしは言うことがあ…おえっ!」






***




襟を掴まれ引きずられる。なぜか廊下を過ぎてどこかに向かう仁王。




「息できな…ぐおっほげっほ、ゔあ゙ー」


「お前さんはどこの親父だ。ほれ、着いたぜよ」




引きずられて屋上まで来ていた。いやー、三途の川渡らないように格闘してたから全然気付かなかった。




「サボるには絶好じゃな」


「あたしを巻き込まないでよね」




そう言いながら背伸びをして、仁王の隣に腰をおろした。




「なまえと一緒じゃないとサボる意味もなか」




普段とは掛け離れた言葉を言われ思わず思考が停止する。




「なんじゃ、化け物見たいな顔して。化け物はお前さんか」




前言撤回、いつもと同じ。




風が吹き、仁王の髪を揺らす。空を見上げている横顔がいつもより大人ぽく見えた。




「好きな奴とじゃないとつまらんじゃろ」





その言葉は空とあたしの心に溶け込んだ







きっと僕らは
してる






「自惚れるわよ」

「自惚れればよか」

「大好きだよ、前から」

「知っとうよ」







風船花火の香月様へ。
キリ番1500ありがとうございます(^^)
すみません、押し付けます←















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