あたしは今までにないくらいのスピードで学校に向かう。
親の都合でこの土地に来たのは5日前。まだ、道もうろ覚えのため家を早く出たにも関わらず迷ってしまった。
「どうしよう…転校初日から遅刻はキツイ」
時計を見れば、朝のHRの始まる5分前。……諦めたほうがいいかも。
そんなことを考えてたら、先程のあたしに負けない、いやそれ以上のスピードで人が走り抜けて行った。
目立つ真っ赤な髪をした人。どうしてかは、わからないけど気がついたらあたしはその人を追うように走ってた。
「ん?お前も遅刻組?」
「どーも、引越して来たばかりだから道わかんなくてね」
「うわー、転校初日から遅刻とかついてないだろぃ」
「本当だよー。でも、さっき横通ったときに貴方の校章見えたから、もしかしたら…てね」
「それで追って走って来たのかよ」
「ご名答」
隣で並んで走る。テニスバック担いでるのを見るとテニス部らしい。
「俺、丸井ブン太。シクヨロ☆」
「なまえ##NAME2##です。テニス部なの?」
「おう、なまえもテニスやってんだな」
あたしの赤いテニスバックを見て言う。
「うん、テニス部入るつもり」
「じゃ、いつも会えんな。今度打ち合おうぜぃ」
無邪気に笑う彼。その笑顔眩しくてたまらなかった。
「ギリギリセーフ!俺こっちだからまた放課後な!」
「うん、また後で」
別れてそのまま職員室にダッシュ。先生に案内されて教室へと。
「あっ!」
「お、なまえ同じクラスじゃん」
純粋な笑顔があたしを包む。
小さく手を振った。
「これから毎日会えんな」
「今日会ったばかりなのに前から友達だったみたい」
「放課後一緒にコート行こうぜ」
「もちろん!」
今感じている胸の高鳴りはきっと嘘じゃない。
出会った瞬間、恋したみたい
知らない間に惹かれていた09.10.16
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