純愛ラバーズ 柳生




世間では今日はバレンタインデー。
女の子が好きな男の子にチョコレートなどのお菓子をあげる日。


といっても私には関係ない。
好きな人いないし、むしろ私に下さいよ。ほら、逆チョコってやつ。


学校も例外でなく教室とかあまったるいにおいが充満してる。特にみんな男子テニス部の皆さまに渡すのに必死みたい。毎年よくやるよね。


で、私は屋上に避難してきたわけ。今は貯水タンクによっかかってランチ中。下を見ればバタバタと人が入れ違いで入ってはでていく。お、今日はタコさんウィンナー入りだ。


しばらくすれば静かになった。
イヤホンから流れる音楽を口づさむ。急に肩にかかった重みにびっくりしてふりむけば、たくさんの女の子に追われていたであろう紳士がいた。




「おつかれですな。授業終わった瞬間からダッシュで消えたもんね」

「正直バレンタインデーなどなくなればいいと思いますよ」

「紳士がんなこと言っていいんですかー」




そういえば苦笑いしてポケットからなにか取り出す柳生。ん、クッキーだ。




「私が作ったのでおいしいかわかりませんが、一緒にどうですか?」

「待ってました!いただきまーす」




おいしい!と頬張る彼女。
確かにいままで追われてたんで逃げてましたけど、逃げながらも私はなまえさんを探してたんですよ。教室もどったらいないですし。


そんなこと知らないなまえさんは、のんきに隣でクッキーを頬張る。




「ほんと柳生は器用だね!私が焼くのよりおいしいよ」

「なまえさん料理……できるんですか?」

「あ、いまばかにしたな!できますぅ!私はただ某お菓子会社の陰謀にのりたくないだけなのっ」

「そうですか、すみませんでした。でも、なまえさんひとつ間違えてますよ。私はなまえさんが思ってるような紳士でも器用でもありません」




なにか言いたそうな彼女の唇を奪う。離れた自分の唇を舌で舐めれば、みるみるうちに赤くなるなまえさん。




「ななな、え、う、や、やぎゅ?!」




こういうのをギャップ萌えって言うんですかね?
混乱する彼女にもう一度くちづけて、抱きしめれば、余計混乱したみたいだ。




「ああのっ!やぎゅっ…」

「なんですか」

「…さっきの、だか、ら……」

「キス?」

「………ぅん」




私の胸に顔を埋めるも真っ赤な彼女の耳を見れば今どんな表情をしてるかくらいわかる。




「いや、でしたか?」

「ちがっ!…じゃなくてっ」




真っ赤な耳を唇を寄せる。ちゅっ、とキスすればびくっと反応する彼女。




「好きです、初めてあったときからなまえさんが好きなんです」




耳元で囁かれるあまい言葉に、柳生に酔ってしまいそう。心臓は今にも爆発するんじゃないかってくらいに早鐘を打つ。


ああ、心がぽかぽかする。この気持ちが好き、なのだとしたら私はきっと柳生に恋してる。




「返事は?」

「もっかいキス……してくれたらいう…」




うつむく彼女のあごを取り、深くくちづける。恐る恐る背中にまわった小さな彼女の手。




「しましたよ、返事は?」

「うっ、せかさないでよっ」

「思ったより我慢弱いんですよ」

「……き」

「聞こえませんよ、なまえ」

「っ好きだって言ってるのよ、エセ紳士!」




ああ、どうして私たちはこんなに不器用なんだろう。




でも、そんなとこもふくめてあなたのすべてが好きなんです。










あなただけがほんとうの私を
知っていればいい。



















110215
間に合わなかたorz









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