ヒカリ、ヒカル 仁王




家族連れやカップルで賑わう街。




マフラーを引き上げ、賑わう街と反対方向へ歩く。




「クリスマスか……」




ああ、つまらない。




センター試験まで一ヶ月をきり、受験生はみんなクリスマスどころじゃない。
それは、あたしも例外じゃない。
だけど、行き交う人を街で見ればやっぱり羨ましくなる。




まだ朝だっていうのに、キラキラひかるイルミネーションが憎たらしいったらない。




白いため息をひとつ。
うぅ、やっぱり寒い。
雪でも降るんじゃないか、てくらい。




図書館に入れば、失っていた体温が少しずつ戻っていく。






*****






外にでればすっきり日も落ちて、寒さが肌をさす。




「ねえ、あんたバカ?」




入口近くでうずくまってる銀髪に話しかける。
肩に少し積もってる雪。こんな寒い中いつから待ってたんだろう。




「そろそろなまえが寂しいがるところじゃと思ってな」




あたしのことなんでもお見通しなんだから。
からっぽの心が雅治で満たされる。




「ん、なまえ」


「はいはい」




手を伸ばす雅治の手を取り、引っ張れば起き上がった彼に抱きしめられた。




「なあ、少しだけ俺になまえの時間くれる?」


「そのつもりで来たんでしょーが」


「よぅわかっとるの」




どちらからともなく抱きしめあう。
ああ、今は寒さすら愛おしい。だってそのおかげで雅治とこうしてられるんだもん。




「イルミネーションでも見に行くかの」




繋いだ手をコートの中につっこまれれば、不器用な彼の優しさが繋いだ手から伝わってくる。




さっきまで憎たらしかったイルミネーションが、今は天使に見える。




「なまえ、来年も一緒すごそうな」


「あたりまえっしょ」




舞う雪の中、
誓いのキスをした。





Happy Christmas!!





好いとうよ、誰よりも。



君に出会えたことが
1番のプレゼント。








後書き

てなわけで、
2010 Christmas企画でした!←

うわー、久しぶりに書いたら文ぐちゃぐちゃ。汗
コートに繋いだ手を入れる仁王くんが書きたいばかりに突発的に書いたとか秘密ですよ。
(あ、言っちゃった……笑)

ここまで読んで下さったなまえさん、ありがとうございました(*^^*)


10.12.19









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