「げんちゃーん!」
「そそその呼び方はやめろと言っているだろうが、たわけっ!」
げんちゃんは、全国一強いテニス部の副部長で私の大切な幼なじみで、だーいすきな人。
今は部活の終わったげんちゃんを待ち伏せしてたの!
だって一緒に帰りたかったんだもん。
「いいじゃん、愛情表現だよ」
あ、顔真っ赤にしちゃって。もう、かわいいんだから。でも、こんなこと言ったら怒るから言わないの。
「た、たやすくそんなことを言うな!」
「げんちゃんにしか言わないもん」
「っ……」
帽子を深く被ってしまったげんちゃん。照れ屋なとこも昔から。
「なまえ、今帰り?」
「うん、げんちゃん待ってたの!お疲れ様、ゆっきーも帰り?」
「そうだよ。ほら、真田なんて置いといて行こう」
「うわ、ちょっと手!」
「ん?俺となまえの仲じゃないか」
「そういう問題じゃ…」
腰にまわされた手。抵抗してたら、片方の手が頬にそえられた。
やばい!身体が危険信号を発してる!!
げん…ちゃ、ん……。
「ははは、破廉恥だ!!幸村あああ!!」
引きはがされ、そのままげんちゃんに手を引かれて帰路を辿る。
「……げ、んちゃん?」
「すす、すまない!!身体が勝手に動いてしまった」
「ううん、嬉しかった。ありがと、げんちゃん」
「う、うむ…」
げんちゃんに抱き着けば、ぎこちないながら抱きしめてくれた。あー、幸せ。
「げんちゃん、だーいすきっ」
ちゅっと小さなリップ音。茹で蛸みたいなげんちゃん。
「たわけ、そういうのは男からするものだっ」
そう言って抱きしめて、げんちゃんにキスされた。
私もげんちゃんに負けないくらい真っ赤だろう。
「好きだ、なまえ」
「「もう離さない」」
まっすぐな気持ち10.08.01
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