act.8
マイケルとルール
「律せんぱーい!」
「赤也ああああ!」
抱きつく赤也を受け止める。つ、つぶれるううう!泣
移動教室の途中にワカ…ごほん!
赤也とたまたま会ったわけなのだが、この前相談にのってあげてからすっかり懐かれてしまった。
「おーい、律遅れんぞー」
「遅れんぞー、じゃなくてここは助けようよ、ガム太」
「仁王行こうぜ」
「放置プレイ?!くっ、こうなればいたしかたない!
新商品のチョコあげるからヘルプううう!」
「よし、今行く!」
このデブン太!
そんなんだから仁王と同じ体重になっちゃうのよ!
「にしても、お前さんすっかりテニス部に馴染んだのう」
「あたしだってびっくりだよ。しかも、今のところファンの子たちから何もされてないしさ」
嫌がらせされるの覚悟してたのに、なんて笑っとる律。
それもそうじゃ。これだけ俺と幸村が目光らせちょるんじゃ。なんかあったらたまったもんじゃなか。
こいつの傷つく姿なんか見たくないし、第一させとうない。
幸村は、自分のペアにこいつがなったことで傷つかんように気をくばちょる。それに、幸村はまだ気づいてないみたいじゃが、律を好いとう。
俺と律は、小さい頃からずっと一緒に育った。あいつも俺も恋愛感情はない。家族愛みたいなもんじゃな。あえて言うなら、兄妹な感じじゃな。
こいつを泣かせる奴は、どんな奴でも俺が許さんぜよ。
「仁王、どうした?ぼー、として」
「プリッ。なんでもなか」
お前さんは、笑ってんしゃい。
パコーンパーン……
「そろそろ本格的にダブルス用の練習に入ろうか」
「ういーす。でも、その前に非常に申し訳ないのだが、ルール教えてください」泣
精市の前で土下座する。
いや、いつも怒られてる赤也見てあたしだって学習したんだよ。この人だけは、怒らせてはいけないと。て、あたし一回経験してるし買い物行ったときに!
あぁああ、無反応ううう!
「律、俺ダブルスの本渡したよね」
「はい、読みました…」汗
「じゃあ、律は馬鹿なのかな」
「はい、馬鹿で…て、なに言わせるのよ!テニス用語わかんないの多くて頑張って読んだけど理解できなかったのおおお」
初心者なめんな!と言えば拳骨が落ちました。
うぅ、痛い。泣
「威張ることじゃないから。
はあ、しょうがないから教えてあげるよ。そのかわり、今度こそちゃんと覚えること」
「了解しました、部長!」
敬礼して言えばまた拳骨が落ちました。
ちょ、なんで?!
「精市でしょ」
「はい、精市…」
理不尽だ!
女の子相手に加減なしに拳骨とはなんて人だ!
「律?」
「なんでもありませええん!」汗
そのあとは、ブン太とマイケル?くんペアと仁王と柳生ペアを使って説明してくれた。
練習無理やりやめさせてたけどいいのか?
覚えなきゃ精市だけでなく、協力してくれた4人にも殺されるな、ははは。
終わった後に4人と精市にお礼言ったら、なんかマイケル泣いてるし、他は爆笑してたんだけどなんで?!
「ジャッカルのことマイケルだってよ!」
「まだ勘違いしたままぜよ」
「お、俺はマイケルじゃねえええ!」
なんとかルール覚えました!
(後日談 会話のみ)
「マイケルくんだ!この前は、ありがとね」
「いや、俺ジャッカルて名前なんだけど……」泣
「な、なんだって?!
ジャマイカから家探しに来たマイケルじゃないの?!!」
「どんな設定だよ!
ジャマイカから家探しに日本まで来る奴いたら、見て見たいぜ」
「ちくしょう!
また、仁王に騙された!!
とっちめてやるうあああああ!!」
「また騙したわね!マイケルじゃなくてジャッカルじゃない!」
「あんなん騙されるのお前さんくらいぜよ」
「くううやしいいいい!」
「ピヨッ」
110225
▼