交じり合わない僕ら



夏です。夏と言えば海だよねと俺は一人で海まで来たのはいいのですが珍しい人物に遭遇しました。


「あれ、君は確か…篠宮くん?」

「あ、悠人さんですか?はじめまして」


作品は違うけど篠宮くんに出会いました。ここだけの話、俺と篠宮くんの時間軸は違うんだ。俺が携帯電話だったら篠宮くんはスマートフォンみたいな。ごめん、説明できなくて。
と、言うわけで驚くと思うけど俺は今とっくに高校を卒業して良樹さんの右腕兼恋人として働いています。だから高校生の彼を見ていると、懐かしい思い出が甦ります。


「海に一人ですか。確か悠人さんって恋人もいるし、俺の幼馴染みと同姓同名の幼馴染みもいるのに」

「たまにはいいかなって。ここは篠宮くんの地元だったんだね。というか君はどうして?」

「悠人さんの地元は違うんですか。まあ行ってた学園も違いますからね…俺は買い物帰りです」


近くにショッピングモールができたから電車で来ていたのだ、と篠宮くんは言った。それからは、さすがに海にずっと座っている訳にもいかなかったから、初めて来た俺にいろんな場所を案内してくれた篠宮くんと幼馴染みのこととか俺の行っていた学園のこと、俺の恋人の良樹さんについても話した。
恥ずかしかったけど、良樹さんのことを話していたときは幸せで、男同士だっていうのに篠宮くんは何も言わずに聞いてくれた。


「同姓同名で同じ部活の幼馴染みかぁ。同学年じゃないのがなんとも」

「俺たちが同学年だったら大変じゃないですか。仁も苦労しますからね、絶対」

「椿木祥太も一緒なんて偶然ってあるんだね。面白いな」


なんて話していると時間はあっという間で。どこにいるかを連絡済みの俺は、夕方迎えに行くとメールがあったように良樹さんが迎えに来てくれた。


「良樹さん。彼が篠宮くんです。俺たちが通っていた学園と同じような学園に通ってるみたいで―――」

「……へぇ、そんな偶然もあるんだな」


篠宮くんには送ると行ったのに遠慮して帰ってしまったので、俺はサイドミラー越しに見えた篠宮くんを良樹さんに紹介した。それから懐かしい学園のことを話した。
篠宮くんは単に「全寮制でホモがたくさんいる金持ち男子校に通ってる」ということと幼馴染みと親友についてしか言わなかったから詳しくは知らないまま。だけど、それでいいんだとも感じた。


「また、会いたいな」



交じり合わない僕ら
(だけどたまにはいいよね)


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