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―――最初は、単なる興味本心と退屈しのぎだった。
そこそこ名の知られる有名な財閥の一家、四ノ宮家に生まれた少年の名前は燐。泣き黒子が特徴的な、優秀な子どもであった。
しかし、毎日が退屈なんていう感情を抱いたのはいつからだっただろうか。何か物足りない。刺激が欲しい…そう感じたのは中学生の頃。噂で聞いた夜の街、そこに興味本心で自ら足を踏み入れたのだった。真っ暗な道。だけど、そこには非日常な事態なんてどこにもなかった。
―――やはりつまらない。
そう感じた時、目の前を緋色の頭が駆け去っていったのを不思議に思って追い掛けてみると、そこに広がるのは不良たちの争っている光景で。
――みーつっけた。
ようやく見付けた“非”日常に、燐は迷いのない足取りで歩みを進めたのだった。