私は今、レジーナに乗っている。
勿論私がレジーナに乗れる訳じゃないから、シェイドの前に座って、必死に落ちないようにつかまっていた。

ここに来るのは久しぶりだなぁ、と思わず笑みがこぼれる。どうかしたか?とシェイドは聞いてきたけれど、なんでもないと返した


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「ついたぞ」
「わーい!」


私の前には広大な砂漠と美しい星の泉が目の前に広がっている。今日はシェイドの誘いで泉の観測に来たのだ。


「やっぱりきれーい!!」


後ろからはしゃぐなよ、とシェイドは私に言う。


「寒くないか?」
「うん、大丈夫!ありがとうシェイド!…それ、なあに?」


シェイドが片手に持っている筒のようなものを指差して聞いた。


「望遠鏡だ。遠くの星を見るのに役立つ」

「へぇー!!すごいね!そういえばシェイドの部屋にあったね。おひさまの国ではみたことない道具だけど…」

「ふしぎ星ではここしか本当の『星』を見る道具だから、みたことがなくても仕方ないさ」


シェイドが望遠鏡を設置した後、私たちは星の泉を覗き込んだ。

シェイドがひとつひとつ説明してくれる。


「あの星の集まりが天の川…ミルキーウェイと呼ばれている。」


あ!ミルキーだね!
ああと頷くシェイド。


「あれがベガ、デネブ、そしてアルタイルだ。あれは北極星」

「星にも名前があるんだ!」

「この星だってふしぎ星って名前があるだろう?ああいう恒星…光っている星をつなげて、形を作る文化がある。星座というらしいが、この星には無いな。その星だけでもかなりの数あるらしい。」

「…凄いね、びっくりしちゃった」


ろくな感想が出てこなかった。もちろん星はすごいなぁと思ったけど、さっきの『凄い』はシェイドのことだ。

まさか、こんなに楽しそうな顔をするなんて

シェイドはいつもプリンスとして、自分の使命だから…と、ずっと遠くを見つめていたような気がした。
だけど、好きなことに熱中するような一人の男の子だったんだなぁ。


「星が、好きなんだね」

「ああ。好きだよ」



どきり、と心臓の音がした


(好き、か)


私はゆっくり深呼吸をした。

『恋しい人の名を三回呼んだ時に流れた星の数が多いほど恋が叶うといますラビラビ』

ふと昔レインがしていた恋占いを思い出す


『ファイン様はなさらないのですか?』
『私は恋占いなんて…』


この時なぜか


貴方の顔が浮かんだの



どうして貴方の顔が浮かんだのか、あのときはわからなかった。だけど、



今なら



わかるよ






「……………」


息を吸い込んで、三回。

それはそれは小さな声で貴方を呟いた

自分にしか聞こえないような小さな声。だけど

貴方への想いを込めて


その刹那



「あっ」




星、ひとつ

弧を描いた





「ファイン、見たか?」

「う、うんっ。見えた。見えたよ、あれは」


流れ星だよね?


「この時期に流れ星は滅多に見られないはずなんだ…凄いな」


シェイドはいつもとは比べ物になら
ない位キラキラした表情をしていた。

夜空に浮かんだお星様みたいにキラキラした瞳


――――さっきの、流れ星



思わず顔が熱くなる




ねぇ、


あの流れ星の輝きは、嘘じゃなかったよね?

信じても、いいかなぁ?
期待しても、いいかなぁ?


「シェイド、あのね、私、占いって信じる方なの!!」
「…は?」
「わからないならいいんだ!」

私はとびきりの笑顔で笑いかけた

「シェイド!!つれてきてくれてありがとう!!」

「…どういたしまして」




こんどは望遠鏡を使って見てみよう

星の泉観察はまだ始まったばかり

もっと星を見たいとは思うのだけれど




あのときの流れ星の輝きが
私の目に焼き付いて離れなかった












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ファイン自覚後の話。占い云々はキャラクターショーから
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