6年前のあの日、



「君...1人なん?」

「...誰...」

「僕と一緒に来いひん?君が必要なんや」



流魂街の45地区
治安は良くもないけど飛び抜けて悪いわけでもない
そんな場所で私は彼と出会った


見たことの無い着物、脇差
彼自身の独特な雰囲気を纏い綺麗な銀髪を風に靡かせて私の目の前に突然現れた彼
平凡な私でもただ者ではないと分かる彼に私は一目で恋に落ちた

ずっと1人で誰にも必要とされずに生きてきた私にとって
ギン様の言葉1つ1つがとても新鮮で異常な程に嬉しかった

6年前のあの日から、私の全てはギン様








バタバタバタバタ....ばん!!



「申し訳ございません!寝坊してしまいました!!」

「***〜またかいな」

「ですが...ギン様が起きてらっしゃったのに私をほっといて出勤してしまうからで...
目覚まし時計だってギン様が止められてたし...」

「***は使用人やろ?起きるくらい1人で出来なあかんと違う?」

「...申し訳ございません」

「謝るんは直してから言い」

「...はい」

「ほな僕は任務行ってくるわ、イヅル後は宜しゅうなぁ」



...パタン...



...はぁ、またやってしまった

6年前、ギン様に拾われてから私は3番隊の使用人として働いている
住む場所(恐れ多くもギン様の邸宅です)も頂いて何もしないのは申し訳ない...
そう思い自分から言って出た

ギン様の役に立ちたくて、ギン様に褒められたくて、
私なりに頑張ってるけど全部空回り

今日の寝坊だって...



「昨日は遅くまで書類整理してくれてありがとう」

「イヅル様...申し訳ありません、また寝坊してしまって...」

「いいよ、気にしないで
それより書類整理大変だっただろう?
かなりの量があったのにここまで分かりやすくまとめてくれて...」

「いえ、私に出来ることなんてこれくらいなんで...」



少しでもいいからギン様の役に立ちたい
あの6年前のご恩をお返ししたい
今の私があるのはギン様のおかげだから...

そう思っているのに、実行すれば裏目に出るばかり



「イヅル様...ギン様は私のことが嫌いなのでしょうか?」

「え?」

「嫌いですよね、こんな迷惑ばかりかけてる私なんて...」

「そ、そんなことないと思うよ...?」

「いいんです、わかってます
何をしても失敗ばかりで怒らしてしまってますから...
こんな役立たず、拾うんじゃなかったとギン様は思われてる筈です」

「***君...」

「あ、すみません!仕事中なのにこんな話をしてしまって...
今日は掃除と書類配りで宜しいですか?」

「あ、うん、お願いするよ...」

「はい、他にも何かありましたら言って下さいね」



仕事中に私事お挟むなんて有り得ない
これ以上3番隊に迷惑かけてどうするの...


今日は失敗しないようにしなきゃ







「...で頑張った結果がこれなん?」

「...申し訳ございません」



午前中に書類を届けて午後から掃除に移った

ほうき、床磨き、窓ふき
どれも失敗無くこなしたんだけど...



ガシャンッ



最後、掃除道具を片付けようとした時
ほうきが飾ってあった壷にぶつかり、落として割ってしまった

なんで最後の最後で...
と自分で責めまくりたかったけど、
自分で責めるより先にあの方がお帰りになった



「確かこれ結構高かったんやけど...」

「す、すみません...」

「はぁ、なんで***はこう失敗ばっかなん?」

「...申し訳ございません...」

「朝も言うたけど、謝罪が聞きたいわけや無いんやって」



私ってとことん駄目だ
失敗して怒らせて、何1つ役に立ってなんか無い

これ以上ここにいてもギン様に迷惑をかけるだけだ...



「本当に申し訳ございません」

「せやからっ...」

「今までのご恩、お返しできなくてすみません」

「...***?」

「実は前々から考えていたんです
ここにいても私はギン様や3番隊に迷惑をかけるばかりです...
ですから、もう...使用人、辞めさせて頂きます
もう、迷惑...かけたくないんです

6年前、私を引き取って下さりありがとうございました...
迷惑かけるだけかけて何も返せず辞めるのは本当に心苦しいのですが...」

「....」

「今までお世話になりました...
3番隊の皆様にも宜しくお伝え願います...」



一礼し、ギン様の顔を見ないように部屋を出て行こうとする



けど、それは出来なかった

ギン様に...腕を掴まれたから



「ちょっと待ち、***」

「離して下さい...!」

「嫌や、何勝手に辞めるとか言っとるん?
そんなん僕が許すわけないやろ」

「ですが...!」

「6年前に言うたやろ?君が必要やって...
一目惚れ、したんよ」

「...誰に...ですか?」

「***に、や
どうしても側に置きとおてここまで連れてきたんや」

「嘘....」



嘘だ...
ギン様が私なんかに一目惚れなんて...
信じられない....



「本当や、せやから辞めるのも認めんし離れるのも許さんよ」

「ここにいて...いいんですか?」

「当たり前やん」

「...ありがとうございます...」



ギン様の優しい笑顔に涙が溢れそうになった。



「***は?」

「?」

「***は僕のことどお思っとる?」

「えっと、....ずっとお慕いしていました....//」

「本間?!」

「はい...//6年前のあの日から...ずっと」

「なんや、ずっと両思いやったんやね」

「みたい、ですね」

「6年間もすれ違っとったとか...馬鹿みたいやわ」

「でも、こうなれたのも6年の年月のおかげかも知れませんから...
私にはとても大事な6年間でした」

「大事なのは僕かて一緒や
***と過ごした年月なんやからなぁ」

「ギン様...//」

「もう様付けはいらんよ、呼び捨てがええ」

「...ギ、ン...//」

「何や?」

「好き、です...///」

「僕も好きやで、一生大事にするわ」





好きと好きのすれちがい




(でもギンいつも怒ってばかりでしたよね...
私、嫌われてるんだと思ってました)
(あぁ、あれはちゃうちゃう
***の泣きそうな顔が見たかったんや)
(え、何ですかそれ)
(好きの子程いじめとーなる...ってことやない?)
(!...///)




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りりぃ様 written by 月

タイトル:確かに恋だった






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