ルーク様のなすがまま 「鷹斗くんって、私のこと好きなんですかね……?」
「は?……今更、ですかー?」
目の前にいるルーク、レインさんは少し驚いたように顔をしかめた。もちろん、鷹斗くんが私を好きなことなんて重々承知だ。
「だって、毎日お茶に誘ってくるし、何かにつけて触ろうとするし、好きってオーラを自重していないように見えるし……」
「はぁ。……まー、キングが自重してたらキングじゃないですからー」
少し、不機嫌そうな声。これは私の狙った通りに行くのだろうか。神童相手に。
「さっきも、すごくニコニコして私にお茶しよう?って誘ってきたし……」
「まぁ。キングですからー。……それよりも、ナマエ君?」
「……?」
急にレインさんの温度がさがった。背筋に凍るような冷たさがあがり、ひっと声をあげそうになるが、堪える。だってこれは、最初から狙っていたものだから。
「人の部屋にきてまでキングの話って、なんなんですー?少しはボクの気持ちも考えてくださいよー。だいたい君は無自覚で突飛なことするし………ry」
ぶつぶつと何かを呟いている。ちょっと不気味ですレインさん。
「……君、ボクが妬かないとでも思ったら間違いですよー?」
顔を近づけてそう囁いてくる。また背筋に伝わる温度が下がった気がしたけどこれが狙いだからもう関係ない。
「……なーんて、言うと思いました?」
「…………えっ」
「ボクを試すような真似しても無駄ですよー」
「まぁ、そんなのに引っかかるタマじゃねーしな!」
気がつけばいつも通りの空気になっていた。そして急にカエルくんが喋り出す。
「そんなにボクに妬かせたかったんですかー?」
「ちっ、違……!」
バレていたんだ、と思うとかぁぁぁっと頬にのぼる温度を止められるわけもない。
「はは、顔真っ赤にして否定されてもねー」
「ゆでだこみたいになってんな」
「ちょっとカエルくんは黙っててくださいー」
無駄に紅潮した頬をぱたぱたと手で仰ぐ。
「……知ってて乗っかったなんてひどいです」
「まー妬いたって言うのは本当ですよー?」
「えっ」
きゅん、と胸が締め付けられるような感覚になる。
「……嘘ですよ。君って本当に騙されやすいですねー」
「えぇぇ……?」
「ボク以外に、騙されたりしたらダメですよー?」
「そ、そんなバカじゃないです……!だってそれはその……レインさんだから……」
「まー、そんなところもかわいいですけどねー」
「え……?」
「いやいや、なんでもないですよー」
にこにこと、笑顔でカエルくんと談笑してる。
「……だって、私レインさんが……」
好きだから、と伝えようとすればカエルくんでふさがれた。ていうかカエルくんでふさがないでほしい。
「……君の気持ちなんてとっくに知ってますよー」
「っ………」
知ってるのに、こんなことをするのか。と少し泣きそうになる。ずず、と鼻をすすればくすっと笑い声が聞こえて。
掠めるくらいのキスが落とされた。
「……本当は、妬いてますよ。あ、これは事実です。意外に嫉妬深いですからねーボク。あぁ、あと。
ボクも、君が好きですよ。
返事はイエス以外聞きませんから、そのつもりでー」
そう言い残すと部屋から出ていくレインさん。私はただ、腰を抜かし、頬を紅潮させ。
「イエスしか言わないですよばかぁああぁあ!」
……と一人でわめく以外に選択肢などなかった。
ルーク様のなすがまま
(……それで、返事はー?)
(……ノーっです!)
(おやおや、これは残念)
(……嘘です、イエスです)