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Danger!!
「ナマエーっ!いっくよー!」
「はーい!」

 スパァァァァンっ!と勢いよく音を立てて飛んでくるバレーボール。少し怖気づきながらも、レシーブの体勢を取って、ボールを返すと。

「!」

 プツン、と背中に感じるそれが感じなくなる。……最悪だ、ホックが外れてしまった。ばっとその場にしゃがみ込み、静かに隅っこへと移動する。

「……ナマエ?大丈夫?」
「う、うん!あっ、えっと……ごめん、ちょっと!」
「あっ、ナマエ!?」

 あー、参ったなぁ。……どうしよう、どこにいこう。さすがにここでホックを付け直すわけにもいかないし。……うーん。

「おーい、ナマエ!大丈夫かー!」
「く、黒羽くん…!?」

 バレないように、胸を隠すように腕を交差する。……やばい、これかなり不自然だよね。怪しい……。

「?どしたー、そんな不自然なかっこして」
「えっ、っと。いや、なんでもないんだよ!」
「本当かぁー?」
「う、うん!」
「………………」
「………………」

 まずい。完全に信じてない。そりゃ、そうだよね……。信じろって言う方が難しいよね。私も信じれないし。

「あー、わり。言えないようなことだったか」
「……うん、ごめんね。じゃあ……」
「ああ、またな」

 ……というか、黒羽くんも授業中なのにわざわざ追い掛けてきてくれたのかな。優しいなぁ。私が落ち込んでるときも手品を見せてくれたり。……好き、だなぁ。

 * * *

「んっ、んーっ!」

 ……あれれ、なんでこんなにうまくつけれないんだろう。さすがに、ここで上半身裸になるのは恥ずかしいし。……ど、どうしよう……!?

「!……青子ちゃん!?ごめん、ブラのホック留めるの手伝ってー!!」

 ガタっという物音が外から聞こえて、咄嗟に呼びかける。……けど、少し照れくささを滲ませる声が聞こえ、私は顔から血の気が引いてくのがわかった。

「(ま、まさか黒羽くん……!?)」
「わり。やっぱり心配だったから……」
「う、ううん。大丈夫!あの……」
「でも、ごめん。それは手伝えないよな……」
「そっそうだよね!確認もせずに声かけちゃってゴメンね!」
「なぁ」
「うん?」

 わずかな沈黙。その沈黙がいつもと違って照れくさくて。紛らわそうと口を開こうとすると。

「悪い」
「えっ、ひゃっ!」

 いつの間に入ってきたのか、めくれかけの体操服から見える背中に少しひんやりとした感触が加わる。

「……でも、健全な男子だからしょうがねえよ」

 するりと背中を撫でられ、声が漏れそうになるのを必死に抑える。……ど、どうしよう。もう頼んじゃった方がいいのかな……!?

「くっ、黒羽くっ……」
「つけてやる」

 そういうと、あっという間にプツンと言う音を立てて胸元にあった窮屈感が戻ってくる。……ああ、よかった。と、思っていると。

「っ、んぅ!」
「……はい、おしまい。もう男にこんなこと頼むなよ?」
「ひゃい……」

 腰にちゅ、とキスをされた。……恥ずかしい、けど。でも、嬉しいって思うのはだめなことなんかじゃないよね……?

Danger!!
(よく持った、俺の理性……!!)
(押し倒さなくてマジでよかった……!)
(…………うぅ、恥ずかしい)

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