「主」
「?……安定くん?」
私の近侍である大和守安定くんが、神妙な面持ちで話かけてきたので、何事かと返せば「場所を変えてもいい?」と、言われるがままに場所を移す。やってきたのは私の部屋。
「……僕、怖いんだ」
「怖い?」
「どんどん、欲張りになる」
いつも涼しげな表情を浮かべている彼からは想像も出来ない、泣きそうで不安に押し潰されそうなくしゃりとした顔。欲張りになる、と呟いた途端に大きな、藍色の瞳から一粒、また一粒と涙が零れる。
「……僕は誰からも愛されたいのかな」
「……?」
「夢に、見たんだ。沢山の人に囲まれて、無差別な愛を、無差別に受け取る自分を。客観的に見ている自分は、愛を受け取ってる自分を見て心底吐き気がしたんだ」
ぼろぼろと涙をこぼしながら、そう言葉を発する。……そんな彼を、あやすように頭を撫でる。驚いたように顔をあげた彼は、涙で顔がぐちゃぐちゃだ。
「愛は誰でも欲するもの」
「でも、」
「貴方は愛されるのなら誰でもいいわけじゃない」
「……」
「自分の愛した人に愛されたいのでしょう?」
「我儘な話だね」
「誰でもだよ」
ぎゅ、と珍しく抱き着いてきた彼をふんわりと抱きとめる。……子供みたいに不安定な彼を、こんなにも愛おしいと思うのはなぜなんだろう。
「……僕は、」
「うん?」
「貴女を愛してしまったことが、嬉しいのに悲しくて、苦しい」
突然、そう言葉を漏らした。……自分の耳を疑ってしまったことも仕方のないことだと思う。だって彼は、沖田くんが好きだと自分でも言っていたのに。
「……え、っと?」
「?……なに?」
「う、ううん!なんでもない!」
自分で告白してることに気付いてないのだろうか。……まぁ、気付いてなくてもいいんだけど。舞い上がって変なこと口走らないように気を付けなきゃ。
「……愛してる」
「え」
そのままの貴方が、大好きだ、と告げればびっくりした表情を見せたのち、すぐに笑顔に変わる。
貴方は誰からも愛されたいわけじゃない。……愛されたい人が増えてしまっただけなんだよ、と。言葉には出さないけれど。
「僕を、愛してくれるのかい」
ああ、こんなにも。不安定な貴方が愛おしいと思う。
なにを伝えたいのか途中からわからなくなった結果がコレ。あまりにもひどいので恥ずかしくなったころに消すか、改稿します。