王道なセリフを言ってみた Word:「私と小説、どっちが大事なんですか?」
≫ 通常時のつんけんしたツンデレ鏡花ちゃん
「鏡花さん。私と小説、どっちが大事なんですか?」
「はぁっ?そんなの小説に決まってるだろ!」
……うん。わかってた。いや、きっと照れ隠し、なのかもしれないけどさすがに傷つかないと言えば嘘になるし、落ち込む。
「ま、まぁでもあんたも大事だよ。…小説と同じくらい」
「え?」
「だから!あんたも大事だって言ってるんだよ!わかんないのっ!?」
驚いた。本当に。…まさか、鏡花さんが本音を言ってくれるなんて。さっきとは違う意味で涙が出そうだ。
「…ありがとう、ございます。嬉しいです」
「ふんっ。せいぜい喜んでれば!?」
こんな彼が好きな私は末期なのだろうか。末期でもいい、好きなのだから。
≫ 余裕たっぷりな意地悪鏡花ちゃん。
「鏡花さん」
「なに?」
「あの、私、と小説。どっちがだ、大事ですか?」
……沈黙。ただひたすらに沈黙。いたたまれなくて口を開こうとしたとき。
「はっ。なに、あんた。小説に妬いてるの?」
「うっ。……そう、です」
鏡花さんはいつも余裕たっぷりで、少し意地悪。…そんな彼を好きになったわけだから後悔はするわけもないけど。でも、寂しいのだ。構ってもらえないことが。
「あんた馬鹿なの?そんなのいらない嫉妬だよ」
「、で、でも!」
ぐっと顔を寄せて、彼はこう口を開いた。
「――…僕は、人が好きだよ。喋らないものに興味もないし愛せもしない」
「だから、あんたが人じゃないものに妬くのはお門違いってわけ」
……ああ、どうしてだろう。こんなに嬉しい。ありがと、うござ、います。
≫ なまえさん大好きなデレデレ鏡花ちゃん
「鏡花さん」
「好き」
「えっ」
「僕は何よりもあんたが好きだよ」
え、ちょっとまってまって。私の聞きたいこと聞く前に欲しい答え言われてしまったよ?なに、心でも読めるんですか?
「僕はあんたがいればいいよ。小説もあんたがいるからかける」
「えっ、ええ!?」
そ、そんなそんなそんな。いつも言われなれてることだったはずだけど今のは初めてきいたよ!?
「なんでそんな驚いてるのさ?当たり前じゃないか」
当たり前ときた。……あれれ、前の鏡花さんってこんな感じだったっけ…?…違うような気がするよ。うんうん。だってそもそも馬鹿だの愚図だの罵られていたような。
「……好きだよ」
「あっ、あの。私も、好きです」
「そっか。嬉しい」
なにこのデレ…!!ああ、もう。こんな鏡花さん誰にも見せたくないです神様!
≫ 王道風な王子様キャラの鏡花ちゃん
「鏡花さんっ」
「うん?どうかした?」
「私と、小説!どっちが大事、なんですか?!」
「え?」
「……」
きょとん、と鏡花さんはこちらを見ている。のち、ぶわっと瞬く間に顔が赤くなった。
「えっ、え!?……あの、もちろん。君、が大好きだよ」
「っ……!!!」
じ、自分で聞いといてなんだけど、すごく恥ずかしい。恥ずかしすぎる。……お互いに顔が真っ赤って、どうなんだろう。
「あー、お前らな。見せつけるのも大概にしろよ?」
「っ、お、音二郎さん…!」
「川上…!い、いたんなら声かけろよ……!」
結局、お互いに恥ずかしすぎて話にならなかった。けど、でもやっぱり嬉しい、かも。