悲しくなんかない。
悔しくなんかない。
怒りなんて感じない。
俺は、忍やねんから――――
忍は喜怒哀楽の感情を簡単に表に出してはならない。
相手を欺き、唆し、任務を遂行する。
それだけが…監察として生きる、忍としての存在理由。
俺には感情なんてない。
そんな無駄な感情、邪魔なだけや。
俺は忍やねんから……そんな感情、持っとらんねん。
無駄な感情は小さい時に、捨てた筈やから………
こんな気持ち……知らんねん…。
なんや、胸のあたりがもやもやして、むかむかして…気持ち悪い。
けど、やっぱり会いたくて、名前を呼ばれると胸が暖かくなるような気がして……
なんや……こんな気持ち、俺にあるはずないねんなぁ……
俺は、忍やねんから…
なぁ…そうやろ……?
END