「えっ!?堺さん結婚してたんすか!?」

ETUクラブハウスの更衣室。
練習が終わり、シャワーを浴びに行っている者、着替えている者様々だ。
そんな中、世良の声が更衣室に響いた。

「はぁ?何今更な事言ってんだ。」
「だって…知らなかったっスよ!!!」

石神さんや丹さんと堺さんが話していたのは、堺さんの奥さんの事で、最初聞いていたときは「あぁ〜…やっぱり彼女いるんだなぁ」くらいに思っていたら、急にその話の人が奥さんだと判明して、今世良はとてつもないショックを受けていた。
まさか堺さんが結婚していたなんて……

「世良知らなかったんだっけ?」

まぁ、堺嫁さん自慢とかしないしね。と丹さんが苦笑いしながら世良の肩をポンッと叩く。
丹さんや石神さんは世良が堺さんに想いを寄せている事に気付いていた。
気付いていないのは堺さん本人だけだろう。
サッカーばかりやっていて恋愛には疎いから。
今の嫁さんも中々に苦労したに違いない。
そんな生暖かい目で堺さんをにやにやしながら見つめる。

「…なんだよ…」
「べっつに〜」

眉間に皺寄せて、すげぇ不機嫌そう。
はぁ…よくこんな無愛想な奴に嫁さんが来たよなぁ…
まぁ、堺はいい奴だけどさ。


「あの、丹さん…堺さんの嫁って…可愛いんスか…?」
「おう、かわいい。堺にはもったいないくらい!」

不安そうに聞いてきた顔がまたずーんと重くなる。
まぁ、堺に嫁さんがいるって知らないで好きになっちゃったんだもんなぁ…

「世良、残念だったな。」
「あきらめろ!」

そういって石神さんと丹さんは世良の背中を思いっきりたたく。

堺既婚者発覚とともに、世良の恋は儚く散っていった。

そして事の発端の堺さんはその事を知らないまま、奥さんの元へと帰って行きました。


  END
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