カントーのジムを回り、最後のジムまで来た。 それはトキワシティにあり、最奥で待つジムリーダーに会う為に歩を進める。 が。 ぐるぐる回る仕掛けに、今までのジムより手強いトレーナー達。 気持ちが悪くなるわ戦略に頭を使うわでわたしの頭の中はパンク寸前。 漸く着いた時、その安心感からその場に盛大に倒れてしまった。 バターンと大きな音と、『大丈夫か!?』と慌てた声が耳に届いたのが最後、わたしは意識を手放した。 ひやりとおでこが冷たくなる。 その感覚に目を開ける、ぼんやりとした視界には見慣れない天井があった。 ここはどこで何をしていたんだっけ、はっきりしない記憶を辿ると頭がズキズキ痛んだ。 「目が覚めたか」 「…?」 声がした方に目をやるとそこにはイケメンが。 驚いて上半身を起こすと、おでこに乗っていたタオルが掛け布団に落ちた。 「おい、急に動くと…、」 「っ!〜〜〜いった…」 「だから言っただろう…大丈夫か?」 さっきよりも強くツキンと痛む頭を抱えると名も知らない彼はわたしに水を渡してくれた。 それをちびちびと飲むと気持ちが落ち着いた、まだ少し頭は痛むけれど。 そこで漸くイケメンの顔を見ることが出来た、改めて見る彼はとても整ったそれをしていてモテるんだろうなあ、なんて思った。 「お前、名前は?」 「ナマエ、あなたは?」 「おいおい…、ここに来て俺を知らないのか」 「え、」 「俺はグリーン、トキワジムのジムリーダーだ」 言葉が出なかった、まさか、自分と歳が近いであろう男の子がジムリーダーをしているだなんて。 というかここはジムなのか、そうか…、え? じわじわと記憶が蘇る。そうだ、わたしはジム戦をしにここに来て、ぐるぐるぐるぐる…ぐる…。 「………」 「お前俺の目の前で倒れたんだ、覚えてるか?」 「…ええ、まあ、今思い出しました」 「…悪かったな」 気持ち悪かった、それはもう。 ジムリーダーに会ったら怒ろうと思ったのにこんな低姿勢ではそんな気も萎えてしまった、イケメンだし。 許すしか選択肢は無かった。 「よし、じゃあバトルしてください」 「は?お前、大丈夫なのか?」 「うん、早くしよう!」 「そんなに元気なら心配ないな、手加減しねえぜ?」 「望むところ!」 そうしてバトルは始まった。 グリーンは想像していたよりも強く、何枚も上手で、色んなバトルパターンを繰り出して来る。 時に激しく、時に冷静。 わたしはそれに翻弄されながらも自分なりのバトルで挑むが、わたしなりの最強パーティーが次々と倒されていく姿に目を疑った。 それでもわたしも負けてはいられないのだ、グリーンのポケモン達も一体、また一体と倒れていく。 「やるじゃねえか!」 「そっちもね!」 「ははっ、こんなバトルは久しぶりだ!」 バトルは長時間続き、その結果、わたしは…、 「………」 「ふう、お前強いなあ」 「…でも、負けた……悔しい」 「まあまた来いよ」 「うん、次は勝つから!」 「ふ、バトル楽しかったぜ、ナマエ」 「わたしも!」 ほんの一瞬で 101019 |