Green | ナノ



 


週間。
グリーンに負けてわたしが修業した期間である。
その間、トキワシティのポケモンセンターに寝泊まりしていた。
けれども修業だと根詰めても成果が出ないのは重々承知であり、わたし自身も気分転換をしたくなったので。

「トキワの森到ちゃーく」

修業で疲れているポケモン達をポケモンセンターに預けた。
わたしの足元で元気良く鳴くガーディの頭を撫でる。
自然の迷路と謳われたここは何度入っても懐かしい感じがする、不思議だ。
入る度に新しい発見をするここのことを、わたしは嫌いではなかった。

ここに入るのが初めてなガーディは当たりを忙しなく見回しながら、わたしの後ろをついて来る。
ブラブラと宛ても無く歩き出して数分経った時、カサリと草が揺れて野性のポケモンが飛び出してくる。
それは珍しいと言われているピカチュウだった。
うわ、と声を漏らすと同時に興奮したらしいガーディがピカチュウに向かって行く。
勿論驚いたピカチュウはたーっと凄いスピードで走って行った、それを夢中で追いかけるオレンジ色の…!
ままま、待って…!
わたしの声も虚しく、2匹のポケモン達は森の奥底へ消えて行った…えっ?

「嘘でしょ…!!!」

急いでその後を追う。
どれくらい長い間走ったのだろうか、息が絶え絶えになって喉がカラカラに乾く。
白いふわふわとした尻尾を見つけて漸くほっと息をつく…、喉渇いた…。
頭隠して尻隠さずという様な格好をしているガーディに笑みが零れる、まったく可愛い奴め。
すぐ隣で眠っているのはピカチュウだった、ラッキー、すかさずモンスターボールを取り出してゲットする。
しかしその場に寝ていたのは彼らだけではなかった、もう一つ白い尻尾の…、

「イーブイ?」

…いや、ポケモンだけではな、い……?

「………なんでグリーンがここに」

グリーンがいた…えっ、待って、ジムは?
すやすやと気持ち良さそうに眠っているのを良いことに、整い過ぎているとも言える彼の顔をまじまじと見た。
長い睫毛が影を作っていて、鼻も高くて整っている、唇も薄くて…てっ、どこ見てんだか。
何だか無性に恥ずかしくなってふいっと視線を逸らす。
木漏れ日が優しく降り注ぎ、控えめに風が吹いた。
わたしも眠気に誘われグリーンの隣に寝転ぶ、ボールに戻したガーディと新しい仲間になったピカチュウを出す。
相変わらず寝たままで、よしよしと頭を撫でてわたしも目を閉じた。


左側に温度を感じて目が覚めた。
俺に覆い被せる様にして眠っているのは、卵からかえったばかりのイーブイだった。
寝る前は右側にいたはずなのに…、寝相の悪い奴だな。

起こさないように支えながら上半身を起こす。
そして問題の左側を見る、と…、

「はあっ!?」

思ったより大きな声が出てしまった、慌てて手で口を塞いでナマエを見る。
しかし彼女が起きる様子は無かった、よかった…のか?

「…なんでナマエがここに」

そう、問題はここだ。
ここは人から滅多に気付かれない場所で、ジムをサボりたい時なんかよく使っているが人と会ったことなんか無かった。
トキワシティの住人ならわかるが、ナマエは違ったはず…だったと思う。

起きないのか、まじまじ顔を見る。
彼女が修業していたのは知っていた、何度か見ていたから。
疲れていたのだろうか大きい目は閉じられて、薄く開いた唇からは寝息が漏れていた。

「可愛いじゃねえか…って何言ってんだ俺」
「んー?あれ、グリーン、おはよ」
「え、お、おう」



不思議な気持ち


101021




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