poke short | ナノ



 

※BWのネタバレ有






Nはいつもわたしの前に突然現れた。

最初に出会った時、彼はわたしを見ていなかったのを覚えている、わたしがそこに映ってはいなかったのだ。

けれど、ポケモンを見る瞳はなんとも透き通っていて‥純粋だった。




「僕はプラズマ団のボスだ」




星々がキラキラと輝く空に近付いた頃、Nはポツリと呟いた。

観覧車という密室の空間にそれは音も無く消え、しかしわたしの心にはどすんと重い音をたてて落ちた。

わたしは何も言えなかった、彼をチラリと盗み見てまた遠くの景色へと視線を移す。


Nはいつもポケモンのことを考えていた。

城の住人が言っていた、彼はとても純粋で、だからこそ恐ろしいと。

昔彼は傷付いたポケモンとのみ接していた為、人と接することがなかった為、人を恨むようになったと。

同情するつもりなんて毛頭なかった、けれど彼の過去はあまりにも悲しくて、思わず涙が零れ落ちた。

伝説であるポケモンを連れた彼は大きく見せようと背伸びをしている様に見えた‥何て、はかない。



「僕は少しだけ君が好きになった」




全てが終わりを告げ、わたしとNだけの空間になった時、わたしは観覧車での出来事を思い出す。

伝説のポケモンが破壊した壁からはあの時の様な星空が瞬いている。

あの時と同じだ、しかし一つだけ違うのか、彼の瞳に、わたしが、




「やっとわたしを見てくれた」




映っていたのだ。

小さなことの様で、大きな変化はわたしを涙させるには充分過ぎる程だった。

Nはぽかんとしてわたしを見、ふと笑顔を零した。




「‥そうだね、君を見たのは始めてかもしれない」


「うん、嬉しい」


「…嬉しい?」


「トモダチにはまだ遠いけれど、距離は縮まったよね」


「………トモダチ、」




いつかわたしもあなたと友達になりたいな、そう口にすると、彼はわたしの手を握る。

初めて触れたNの体温に安心を覚え、わたしも握り返す。




「…僕とトモダチになってくれるのかい?」


「うん」


「……君の幼なじみのポケモンを奪おうとしたのに?」


「それはベルにちゃんと謝ってね」


「……うん、ありがとう、ナマエ」



『サヨナラ』




わたしと彼の声が重なった後、彼は伝説のポケモンに乗って狭かった世界を抜け出した。

彼の最後の笑顔はとても綺麗だったのを記憶して、わたしも旅に戻るのだ。


そしてある時わたしは声をかけられる、




「ナマエ」





君と僕をぐもの


100921


女主にするとこれなんて乙ゲー?ってなりますよねw
ラストのNに堪らなく愛しくなった<●><●>





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