梅雨が明けて、空には久し振りに見る太陽が見えていた。 寝転がってそれを見れば、眩しすぎて目を細める。 さわさわと草が揺れる音が耳を掠めた。 ふああと欠伸を一つ。 それからぐぐっと伸びてまた空を見た次の瞬間。 ぼすっと何かがあたしの視界を覆った。 それに驚いたあたしはぎゃあ!と色気の無い声を上げて飛び起きる。 頭から膝に落ちた物は見覚えのある物で…、 「あははは!そんな驚かなくても!」 「サァートォーシィー!」 後ろから笑い声が聞こえて後ろを振り向けばお腹を抱えているサトシがいた。 あたしの手にあるのはサトシがいつも被っている帽子で…、 いつまでも笑っているサトシにむかっとしてそれを顔面に思い切りぶつけてやった。 「…で、何の用かな、サァートシ君?」 「その言い方止めろよー」 「はいはい、で?ただあたしをからかいに来たわけ?」 「違うって!久しぶりに晴れたからさ、」 あたしの隣に座って覗き込むサトシの目はキラキラと輝いている。 あたしがバトル?と聞けば、すぐさま違う!と勢いよく返された。 意外だ。 次に来る言葉だと思ったのに。 珍しいと心の中でぽつりと呟いて、サトシを見た。 サトシはにこーっと微笑んだまま、あたしを見る。 「今日!二人で遊びに行かないか!?」 「いいけど…、」 「よっしゃあ!どこ行く?」 「サトシは何したいの?」 「オレ?オレ、は…」 ああ、黙り込んでしまった。 遊びに行くと言っても買い物とか、遊園地とか、遊ぶ内容によって場所が違ってくる。 手を顎にあてて真剣に考えているサトシを見ていたら自然と笑みがこぼれた。 何ににも一生懸命に取り組むサトシが大好きだ。 ゆっくりでいいよ、そう言うと何か思い出したかの様にあたしを見た。 「やっぱりいい!」 「え?」 「ここでナマエと二人でいる方が、いい」 「サ、」 ドサッ 名前を呼ぼうと口を開けたとき、世界が反転した。 陽の光はサトシで遮られ、暗くなる視界(ああ、押し倒されたのか)。 でもサトシの表情ははっきり見えて…、 いつもはあどけなく微笑む口元がニヤリと、いやらしい笑みの形を作っている。 「ナマエと二人きりで、らぶらぶしたいなあ、オレ」 「らぶらぶって…、」 「すげー好きだ、ナマエ」 今度は少し大人びた笑みを浮かべて見せた。 瞬間、あたしの心臓は一度キュウッと縮んだ後、大きく脈打つ。 小さくて短い息が漏れた。 うるうる、今度は視界が揺れる。 「あたしも好き!」 「知ってる!」 涙と共に零れた言葉にサトシはいつもの笑顔で返してくれた。 ちゅう、額に軽くキスをされあたしの顔が真っ赤になるまで後3秒。 らぶらぶ! (サトシ、)(ん?)(ギュッて…し、て?)(! ナマエー!(可愛っ…!)) 090807 |