いくらなんでも、冷た過ぎると思う。 『明日の補講頑張ってね。』 『それじゃあ、おやすみ。』 たったこれだけだった。 一つのメールに二行で送られた内容に落胆するしかなかった。 オレ的にはあれだ、一緒に勉強しようかとか、明日終わったらデートしようとか、そういう内容を期待していたわけである。 一方的にメールを切られた以上、オレがやることは一つ、 「くそぅ‥」 寝ることである。 「……段々サトシが可哀相になっていくわね」 「はっきり言うなって!」 隣の席に座るハルカに哀れみを含んだ目で見られ、いたたまれなくなった。 泣きたいのは山々だ。 けれど、最初から彼女の性格を知っていて付き合っているのだから正直これは覚悟していたことである。 ……もう少しデレて欲しいとは思うけど。 「デレたらすげー可愛いんだ!」 「結局惚気?信じられないかもー」 「あー早くナマエに会いたいぜー!!」 「なら少し黙ろうか、サトシくん?」 「すいません黙ります」 今は学校で、しかも補講授業中。 思わず叫んでしまってところ、普段は温厚なゲン先生に冷たい声で注意をされ、オレはそれから一言も口にすることはなかった。 そのかわり、募る想いを机に広げられたノートに書く。 ナマエの名前と、好きだという文字に埋められたノートは気のせいか、くたびれて見えた。 それから一時間、二時間と時間が過ぎ、高く上がっていた太陽はすっかり低い位置に沈んでしまっていた。 じゃーなーと別れを仲間に告げ、校門へとぼとぼと歩く。 「サトシお疲れー」 ぽんとハルカが俺の肩を叩く。 何気ない話をしながら歩くと、ハルカがあ、と声を漏らす。 ずっと下を向いていた俺は何だと隣を見た。 ハルカがある方向に指を指す。 「サトシ、あれっ、あれ!」 「ん?」 その先にいたのは、 「ナマエ…!」 「サトシ!」 校門に寄り掛かるように立っていたのは愛しい愛しいナマエだった。 俺は思わず駆け寄って抱きしめる。 会いたかった、会いたかった、会いたかった!!! 「ちょ、苦し、」 「ラブラブかもー」 「あ、ハルカ。補講お疲れー」 「ふふ、ありがとう。じゃあわたし帰るね!ばいばーい!」 「うん、気をつけてね」 そんな会話がオレの間で繰り出されていた。 オレはそれに参加しようともせず、ただナマエを堪能する。 ナマエの体温、ナマエの香り、ナマエの声。 全てが、愛しい。 「サトシも、補講お疲れ様」 「…うん」 「…怒ってる?」 「全然、むしろ、嬉しくて、オレ、しぬ」 「……今からデートしよっか」 「ああ!」 夕焼けに、2人 100810 |