poke short | ナノ



 

変わらない日常を過ごしていた。


シロガネ山の頂上で星も見えないくらいの吹雪の中、俺はたった一人そこに立っていた。

共に旅をしてきた仲間たちはボールの中で眠っている。

寒いともあまり感じなくなった体。

自分が生きているのか死んでいるのかさえわからなくなってきていたそんな時。

激しい吹雪にも負けないくらい輝いている星を見つけた。

地を駆け巡るまばゆい光はいつの間にか俺の目の前にまで迫ってきていたのだ。


さく、

雪を踏む音が微かに聞こえた。

ゆっくり振り返り、音のした方を見るとそこには一人の女の子が。

はあっと薄い唇から吐き出された息が白くなって吹雪の中へ消えた。

鼻を赤くして俺を見つめている、ああ寒そうだな(半袖の俺が言うことではないけれど)。


バチッ、目があった。

名も知らない彼女の目はキラキラと輝いていて、俺の鼓動は早くなる。


ああ、君が、




「あの‥」


「………」


「レッドさん、ですよね?」


「…!」




あなたに あいに きました。

そう口が動くのを見て俺は相変わらず無言のままボールに手をかけた。

それを見た彼女もボールに手をかける、笑顔な所を見ると結構やるらしい。


そういえばシロガネ山は規制されていたはずだ。

それなのにここまで来ることができた、ということは。




「(強い、)」




そう感じたのは全てが終わった後だった。

俺のポケモン達は全てボールに戻ったが、彼女のポケモンはまだ一体残っている。


ああ、俺は負けたのか。

自分自身にそう語りかけると胸が熱くなった。


久しぶりに負けた、久しぶりに悔しいと思えた。

凍えきっていた体はいつの間にか暖かくなり、ふぶいていた天候は晴れている。

光が、俺を射した。

眩しい世界に眩しい笑顔が目に入る。




「ありがとうございました」


「…………」


「レッドさん、やっぱり強いんですね」


「………」


「お母さんが心配してましたよ」


「……」


「元気なことだけでも知らせてあげてください」


「…」


「また、バトルしてくださいね」


「っ、」




ポケモンをボールに戻す彼女。

一点の曇りもない笑顔を俺に向けて山を下りていった。


君はまるで、






(その後を俺は追いかける、追いかける)(君を、おしえて)



100222


晴れてたのは日本晴れをしたから←







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -