「ポケモンになりたい」 「………は?」 またナマエがおかしな事を言い出した。 昔から突拍子のないことを言っていたけど、これには毎回どう対応していいのかわからない。 たっぷり間を置いてやっと出た言葉はたった一言。 いや、一文字。 ナマエは気にせず続けた。 「ポケモンに、なりたいの」 「…何で?」 今度はちゃんと言葉にして聞くとナマエはふっと笑う。 近くにいたオレとナマエのピカチュウ達を撫でる。 チャーと気持ちよさそうに目を細めていた。 …羨ましい、なんて思ってないからな! 「ポケモンのこと、もっともっと知りたいんだーっ!」 「図鑑もほとんど埋まってるし、チャンピオンにもなったのに?」 「いくらあたしが図鑑を埋めようと、チャンピオンであろうと…、あたしが人間である限りポケモンの全てを知れる訳じゃない」 そう話すナマエは少し寂しそうに見えた。 同時にポケモンのことが凄く好きなんだと思った。 オレなんてまだまだだ。 でもな、 オレはぐっと唇を噛み締める。 「でもオレは…、ナマエがポケモンになったら、嫌、だ」 「何でよ?」 「だってさ、オレはナマエが…、好きだから、」 「………ああ、そういえば」 ナマエが旅だった日のことはあまり覚えられてなかったみたいだ。 …オレ達って‥! はあああぁぁ、溜め息をついたらナマエはあははと笑う。 笑い事じゃ無いぜ、とふてくされるとナマエはよしよしとオレの頭を撫でた。 ピカチュウになったみたいだ。 「もしあたしがポケモンになったらさ、ピカチュウの次にでいいからサトシのパートナーにしてくれる?」 「て、言うかさ、」 オレの未来のパートナーになってくれませんか? (固まったナマエ、ニヤリと笑ったピカチュウ達)(オレの心臓はばかにみたいに跳ねる、跳ねる)(果たして返事は、) 090223 |