poke short | ナノ



 


※学パロ




ガタンガタン、


揺れる電車に眠る君。

電車が止まるごとに目を薄く開けて、駅を確認する。

そんな姿にふと笑みが零れて、ナマエの頭をそっと撫でた。

すると彼女は安心したような表情になり、また眠りにつく。

その繰り返し。


肩に乗ったナマエの頭に自分のそれを軽く乗せる。


いつもはもう一人の幼なじみがいるが、今日は用事があるらしく、不在だ。

久しぶりの二人きりという状況に、口端が上がる。


高校に入ってから、二人だけで過ごすことが無くなった。

可愛らしかった中学とは違い、成長したナマエは大人っぽく、綺麗になった。

それと同時に友達も増え、オレといる時間が減ってきている。

…付き合っているわけではないから口には出さないが。




「サトシ」




そう笑顔で呼んでくれた過去が懐かしい。


物心ついたときからナマエが大好きで、でもそれを本気にして貰えたことは一度も無かった。

それでもオレは思い続けて、今に至る。



また止まる電車。

オレ達が下りる駅までまだまだだ。




「…ん、サトシ、着いた‥?」


「まだだ、着いたら起こしてやるからナマエは寝てろって」


「うん‥ありがとね」




とろんとした笑顔をオレに向けてまた眠り始めたお姫様。

最上級に可愛くて、オレは息を詰まらせた。

どくどくと心臓が忙しなく動く。


あの笑顔は反則‥!


ナマエがいる方とは逆の手で口元を覆った。

今、オレ、絶対顔真っ赤だ。


ぎゅっと抱きしめたくなる衝動を紛らわすため、車内を見渡す。

夕陽が差し込んだこの両に、人はあまりいない。

オレンジに染まった車内を見て、少しだけ切なくなった。

何故かは…わからない。


各駅停車のこの乗り物はあとどれくらい、オレに幸せを与えてくれるのだろう。


もう一度ナマエを見る。

ああ‥愛しい。



この想いをちゃんと告げるのはもう少し後にしよう。

今は、幼なじみという遠くて近い距離にいたい。













おやすみオレの想い
(大好きだ、誰よりも)(だから)(他の奴なんか見ないでくれ)


091126


…切ない?(´・ω・`)
高校生設定なので少し大人っぽくしてみました。




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