poke short | ナノ



 

はあ〜〜〜。


大きな溜め息が出た。

体育座りをして、膝に顔を埋める。


盛大なミスを侵してしまった。

シロナさんが何とかしてくれたからよかったものの、そのミスは許されないことだった。


シロナさんは少し笑って大丈夫だと励ましてくれた。

四天王の皆も励ましてくれた。

でもあたしにとってはそれが辛かった。


それからサトシ達とまた合流して、いつも通りに振る舞う。

今日もポケモンセンターに泊まり、皆が寝静まった頃。

隣で丸くなって眠るピカチュウを起こさないように、そっとベッドを抜け出した。


外に出て近くの湖の水辺に座り込んだ。

……そして冒頭に至る。




「湖に沈みたい」




ぽつりと呟いた時だ。

後ろからにゅっと手が出て、あたしを包む。

同時に背中に温もりが伝わった。

ふわりと香る匂いに強張った体の力が抜けた。




「何言ってんだよ」


「サ、トシ…、何、で…」


「何年幼なじみやってたと思うんだよ。そうじゃなくても、オレはナマエのことなら‥気付く」




そう、とだけ応えてサトシの手に自分のそれを重ねた。

それと同時にあたしを包む腕の力は強くなる。


その暖かさにじわりと視界が歪んだ。




「どうしたんだよ?」


「…っ、大きな、ミス、しちゃって…!」


「うん」


「明らか、に‥あたし、が悪い、のに…、」


「うん」


「みんな…、優しく、て‥!」


「ああ」


「それが、逆に、怖くな、って…、」




―――もっと責めてくれたらよかったのに


あたしが悪いのだから、思い切り怒って責めてくれたらよかったのに!


ぽろぽろぽろ。

涙が次から次へと流れた。


不安だった。

チャンピオンなのにって幻滅されないかって思われないか不安で不安で。


口に出したら止まらなくなってあたしは言葉を続けた。

サトシはあたしの頭を撫でつつ、相槌を打つ。




「ナマエは、みんなに信頼されてるんだな」


「…え?」


「怒らないのは、責めないのはナマエを信頼してるからだと思うぜ?今回は間違えてしまったけど、次は出来るって、みんな信じてるんだ」




そう言ってあたしから離れた。

背中が寂しくなる。

あたし自身も寂しくなって自分を抱き締める手に力を入れた。


すると視界にサトシが入ってきた。

何故かその顔は笑顔だ。


えっと声を上げて目を見開く。

涙を拭って、鼻声で何で笑顔なの?と聞いてみる。




「だって、オレ、ナマエの泣いた所見たこと無かったからさ。頼ることにも無かったし」


「‥まあ、ずずっ、あたしの方が年上だから…」


「そう!そうやってオレ達に弱い姿見せなかったから、そんなに頼りないかなって思ってたんだ」




でも、今、こうしてオレを頼ってくれてる、って言うのが嬉しくなってさ!

そう言って更にニカッと笑った顔は夜なのに眩しかった。


いつの間にか涙は止まり、サトシの笑顔を見てつられるようにあたしも笑顔になる。




あなたは太陽
(ありがとね、サトシ)((ちゅ))(えっ!?)(お礼)(!(寧ろオレがありがとう!))


090911

HGSS明日発売ィィ!!!!\(^0^)/






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