私は今、星の使途から何も言わずに出てきていた。いわゆる家出。なんとなく、雷門に会ったらいいなぁ、って感じで、行くあてもなくただ歩いている。

実際、出てきたことに理由があるわけではなくて、“ツマラナカッタ”からだと思う。最近、いや、結構前から、お父様の意見を素直に受け入れられなくなっていたというのもあるかも。本当にお父様が正しいのかが解らなかった。だから、どうせ連れ戻されるとわかっていても、一人で考えたかったのかもしれない。


だけど、私はあまり外に遠出したことがなかったから、途方に暮れている、というわけ。

これから何処に行こう…。そう思いながら歩いて早何日?私が体力無いのかも知れないけど、流石に疲れた…。エイリア石は置いて来てるからドーピング無し状態なんだよね、だから元の私の体力って事になる。
そういえば、数日前から何も食べていない気がする。皆みたいに鍛えてれば石なくてもこの状態でも平気なの?…そうでもないか。あーあ、樹海は普段使ってるからおかげですんなり通過できたのになぁ…。







『…う……、』

目を開けようとすると、いきなり光が差し込んできた。眩しい。

「あ、気がついたか?」

そう言いながら私の顔を覗き込んでいるのは、オレンジ色のバンダナをした男の子。あれ、なんかこのこ見たことあるな。…どうやら、私はあのまま倒れたらしい。意識なかったもん。

「秋!気がついた見たいだぞ!」

「本当?円堂くん。…あの、大丈夫?」

この子もなんか見たことあるな。そんなことを思っていると、いきなりグゥゥと言う音が鳴り響いた。周りの人達は唖然としている。音の発信源は恐らく私。

『……お腹空いた…。』

そして、何を考えたのか発した言葉がこれだった。しかも、ここの人達にとっては第一声。なんと言うことだ、凄い恥ずかしいじゃない。
なんだか居た堪れなくて黙っていると、先程、秋と呼ばれていた女の子は食べものを持ってきてくれ、どうぞって渡してくれた。この子可愛い。

『……ありがとっ。』


「あの…、名前なんていうんですか?」そう聞いてきたのは青っぽい髪をして、頭に眼鏡をのせている女の子。

『え?みょうじなまえ、だよ。』

「なんで道で倒れてたんだ?」これは、さっきのバンダナの男の子。

『多分…お腹が空き過ぎて』

えへへ、と笑ってみるけど笑うとこじゃないですよね。とまあ等々、色々なことを質問されながら久々のご飯を食べ終わって気づいたことがあった。
それは、ここが"イナズマキャラバン"だということ。気づくの遅いって?うん、否定はしないよ。

つまり私、敵陣に一人で乗り込んじゃったって感じだよね。しかも、拾って貰った上に食べ物まで貰ったとは…借り、つくり過ぎだよ。
…あれ?ということはオレンジのバンダナした子は円堂守だよね?だから見たことあったんだ。

いや、確かに多少、雷門に接触するを望んでたけどさ、まさか本当になるとはね…。はぁ…、こんなことお父様達には絶対に言えないよなぁ。怒られること間違いなしじゃん。というか、よく考えたらなんで名前名乗ったんだろ…。しかも実名だよ?


……まぁ…、過ぎたこと考えたってもう遅いか。エイリアネーム名乗らなかったからまだましだよね!ポジティブに考えないと悲しくなってくるから、無理やりポジティブにしてみる。

さて、これから、どうしようかな…?

2012.08.27

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