ああもう、足りない。全っ然足りない!暇だからか思い出しちゃったなまえのことを、考えないようにしても考えてしまうんだから、この気持ちは増えてくばかりだ。

こんなことなら、連れてくれば良かったかな…。いやでも、もしものことがあったら嫌だし、何より天馬達に恋愛的な意味で好かれても嫌だし。
それに、もし、あくまでもしもだけど、僕以外を好きになられたりなんかしたら…。……死ぬ。確実に死ぬ。そんなの絶対嫌だ!

そもそも、なまえが行きたいって言ったのを止めて駄目って言ったのは僕じゃないか。ワンダバはなんか、なまえがどーしても、って言ったら了承したみたいなことを聞いたけどね。
ワンダバってば、なまえに甘い気がするんだよなぁ…。

うぅ、だからってやっぱり会いたいことに変わりはなくて、今すぐにでも此処からは200年後にあたる時代に帰りたい気分だよ…!
そんなことできないのわかってるけどさー…。わかってるからこそなんかもっと会いたくなるっていうか…。

「…なまえに会いたいよー…。」

小さな声で呟いた時、いきなりドアが開いた。だれだろう。天馬なら開けたときに声も聞こえるだろうし、ワンダバも同じく。誰だよ、もー。なまえ不足で若干苛々してるからか気怠く体制を起こしてドアの方を見た。

「え……、なまえ…?」

『フェイ!久しぶり…!』

あまりの会いたさに幻とか夢でも見てるのか、そこに居るのはなまえで、確かに聞こえたのはなまえの声で。あまりの驚きに口が塞がらない。本物?なんでなまえが?
でも、抱き着いてきたなまえの暖かさが夢でもないと言っているようで、久々の温もりになんだか安心する。

「な、なんでなまえが此処に…!?」

『フェイが今さっき私に会いたいって言ったのが聞こえたから…。っていうのは冗談で、私もフェイに会いたかったんだもの。だから、アルノ博士に頼んで来ちゃった。』

聞かれてたことがなんか凄い恥ずかしい…。だけど理由とかえへへ、って笑ったとことか可愛くて、もうなんか勝手に来たことが許せる気になってしまう。あぁ、可愛いなぁ!…じゃなくて。

「なまえ、危ないから来るなって言っただろ!?」

ちゃんと言っとかないといけないと思ったのはいいんだけど、途端にしゅんとなったなまえがやっぱり可愛くて「あー…まぁ、良いけどさ」と叱れなくなる。

『あのね、私、これからは近くでフェイ達のサポートしたいなって思ってね、此処のマネージャーになろうかなって思ったの!』

「え…?」

『だから、後でワンダバに許可貰いに行ってくるね!』

「なまえ…、え、本気…?」

『うん。…そしたら、フェイと一緒にいられるでしょ?』

でもやっぱ色んな意味でも危ないし僕だって一緒に居たいけど…。でもなまえってば一回決めたら聞かないし、こっちに来ちゃったなら絶対帰らないだろうしなぁ…。

『私、あっちに居る時ずーっとフェイに会いたくてしょうがなかったんだよ?それに、皆のサッカー近くで見てたいし、他の人達のサポートもしていきたいの!』

…あれ、途中から僕のことじゃなくなってる…。確かにマネージャーやるなら他の皆の事考えなきゃいけないだろうけど、なんか複雑。

『とにかく、これからはこっちにいるからね!よろしくね、フェイ!』

ニコッと笑ったなまえが可愛すぎて、僕はもう、駄目なんて言えなくなった。



確かに一緒に居たいけど、それとこれとは違うよね…。

出来れば、なまえは僕だけのものにしたかったんだけど、どうやらそれは無理みたいだ。残念…。


あーあ、可愛い君がいけないんだよ?許せざるおえなくなるじゃないか。

title byフォルテシモ
2012.08.15

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