『ただいまー』

ドアを開けて元気良く言う私。久々に幸せな気分で家に帰れたよ。うん、やっぱり自分の家って良いよね落ち着く…。


…ん、あれ?私、家間違えたのかな。見たくもない人がいる。

ドアを閉めて確かめようとしたら、お母さんがでてきて呑気にあら、おかえり。だなんて言ってきたじゃないですか。

『……お母さん、誰こいつ』

近くまで早歩きで行って対象を指でさしながら聞くと、凪沙の友達なんでしょ?いいわねー可愛い男の子の友達なんて…以下略。
それに対して、可愛くなんて無いですよ。とか笑顔で言ってる狩屋マサキくん。否定するとこそこじゃないだろ。
狩屋と私が友達?ありえない!どんな冗談よ。知り合いとも思われたく無いね!

『友達じゃな……っ!?』

突如来た足の痛みによって私の言葉が遮られた。
狩屋の奴、お母さんに見えないように足踏みやがった…!ふざけんなクソ狩屋!こんなサディスティックな奴誰が友達になるのよ!
友達だよな。とか普通なら簡単に騙せるであろう笑顔で言ってくるけど、私には脅しにしか聞こえない。え、私が変なの?それは無いよ、足踏まれたままだもん。

いてーんだよっ。って言う意味を込めて睨みつけると、変わらぬ笑顔に垣間見える素の顔が素敵ですこと、全く。

それじゃあ、お母さんは買い物に行ってくるわねーと言って出て行こうとするお母さん。
やめて、こいつと二人きり?虫ずが走るわ。え、なに、マサキくんも夕飯食べる?とか聞いてるの?むりむりむり、ご飯がマズくなる!嬉しいことに、遠慮してくれた狩屋。そこは褒めようじゃないか。

『私も買い物手伝う』

と、久々に親孝行しようとしたのに、友達がいるんだから駄目よ、だなんて酷いや
だからこいつは友達じゃ以下略。
バタン、とドアが閉まる音。現在私の家には私と狩屋のみ。


『いつまでニコニコしてんの気持ち悪い。帰れ』

「やだなぁ、友達にそんなこと言うなよ。」

『だれがっ、ていうか、なんで私の家に来てるの?』

折角、部活が無くて狩屋にクラス以外で会わなくて済むと思ったのに、だから幸せだったのに台なしにしやがって。
これなら部活があった方がマシじゃん!霧野先輩助けてヘルプミー

「前にも言っただろ?凪沙が好きだから。」

『なにそれ、意味わかんない。私は狩屋が好きじゃない。だから帰れ。』

やだね、とか聞き分けわるっ。私の安息の時間を返してよ。


「やっぱり、面白いな俺の素を最初から気づいてたのも珍しいし。それに結構可愛い」

『狩屋に面白がられても嬉しくないし。可愛いとか馬鹿じゃない?』

「じゃあ、霧野先輩に言われたら嬉しいの?」

『はぁ?なんで霧野先輩が出てくるわけ』

「好きなんだろ、霧野先輩のこと」

こいつ、やっぱり嫌い。私が顔を歪ませる一方で、狩屋は口角をあげ不適な笑みをつくったまま。そんな顔も好きだな、なんて頭狂ってるでしょ。

『…だったらなに、関係ないでしょ』

「あるよ、何度も言うけど俺は凪沙が好きだ。睨んでくるのも他の奴と話てる姿も。凄く楽しい。
だけど、後者は少し違う。なんだろうムカついてもくるんだよな、得に霧野先輩と話てる時とかは。欲を言えば、凪沙を俺だけのものにしたいね。」

ニコリと目を細めて笑う姿に悪寒がした。

『なに言ってんのよ、私は誰のものにもなんないし、ましてや、あんたのものになんか絶対にならない…っ』

「どうかな、…まぁ、俺は凪沙が俺のこと必要としてくれる為なら、霧野先輩にも、勿論凪沙にもどんなことだってするつもりだから。」

怖い、怖い、怖い…。どんなことでもってなに?霧野先輩にもまだ被害が行くの?
狩屋のことだから、どんな陰湿な手でも使ってきそうだし、予想が出来ない…。
立ち尽くしたまま動けなくなるような感覚に襲われた。手足を動かそうにも動かない。口を開いて喋ろうとしても言葉がでてこない。

「じゃあ、俺はそろそろ帰らせてもらうね。……あ、そうだ。覚えといてね、俺は好きになった子には一途なんだ。

最後までずーっと、ね。」





次の日、狩屋は普通に接して来た。普段通りに、素の姿を私だけに見せながら。




(狩屋が私に好きって言ったのも、私がこんな目にあうのも、なにもかも、きっと全部、夢なんだ。)


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もしもっていう想像です。

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