「みょうじさん」

『ん?なに、倉間』

「なんでも無いです。」

『そ?』

みょうじさんはなんか色々と南沢さんに似ている。性格的に。そりゃもう、血繋がってんじゃねーかってくらい。でもってすげーモテる。
南沢さんも然り、なぜこういう人はモテるのかわからない。…まぁ、そんな事を思っている俺もみょうじさんが好きだ。

それをこの人は知っている癖にわざと他の人の方に行って俺から離れる。
あぁでも、単に俺のことが好きで無いだけなんだろうな…。それを思いたくないから、気を引くためだとか漫画みたいなことを勝手に頭の中で変換。


…相手が他の人との距離を埋めるのなら、こっちがそれより早くみょうじさんとの距離を埋めてしまえば良いんだ。


「みょうじさん…、」

みょうじさんが顔をあげようとするのと同時に、顔を近づけていった。驚いた顔をしているが目を瞑っていてもわかる。

『……っ…!!?』

「一回くらい、良いですよね、どうせ、みょうじさん何回もしてるんでしょう?」

『……はぁ…!?』

何回もキスなんかしてる、確かにそう思った。でも、みょうじさんの反応が変だ。異様に顔が赤いし、複雑な表情してるし、目が潤んでる。

『…ま………か、』

「え…?」

『倉間の馬鹿っ!!』

はぁ…!?みょうじさん完全に涙目になってるし、そこまで俺のこと嫌いだったのか!?

『…て、初めてだった、のに…!』

らしくもなく泣きだしそうなみょうじさんにひたすら罪悪感が芽生えて来た。






「あの…、すいません、でした…!」

『…………』


『……、倉間はさ、私のこと好き?』

「はい…?」

『…あー、いや……ごめん。』

相当動揺してるんだろうな。てか、すげー気まずい…。ていうか、みょうじさん初めてって言ってたよな…。てことはファーストキス!?うわ、今さら恥ずかしくなってきた…。

『…倉間。私は、倉間のこと好きだよ。』

「……え、」

好き?みょうじさんが俺を?空耳じゃないよな、

『だから、驚いたけど、正直嬉しかった。でも、何回もしたことあるって思われてたのショックだった。』

「すいません……」

『……倉間が私のこと好きだから私にキスしたって思っても良いよね…?』

「……、はい。」

改めて肯定すると結構、恥ずかしく思えた。俺の返答を聞いたみょうじさんは一回、嬉しそうな表情を見せてから、顔を近づけて来た。

柔らかい感覚が唇につく。……仕返しされた…?


「……っ、みょうじさん…!?」

『これから宜しくね、倉間。』

みょうじさんは意味深に微笑んだ。


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