どうかお幸せに 草葉の陰より
 

夏だ!お盆だ!つまり!

「私の季節である!!」

勢いよく拳を振り上げても、周囲の反応はナシ。うんうん分かってた。慣れてる。寂しくなんてないぞ。
それぞれが思い思いに過ごす待機所で、私はくあーーっと伸びをする。この部屋はちょっと涼しいので、わりとみんなたむろっているのだ。

「それにしても大変だよねみんな。お盆なのに任務任務任務ってさー どう思うよカカシ後輩」

隠れている方の横顔をつんとつつくと、彼はようやく顔をあげた。目を細めて嫌そうな顔をして、すぐに本に戻る。先輩に対して大変失礼なヤツである。

「おーおー無視かいカカシくんよー 」

凄んでみても反応なし。わかっていたけども。

「……いいもんねー。別の子のとこにいくから」

ふわふわと漂って向かったのはイズモとコテツの中忍コンビのところだ。相も変わらず仲が良いようでなによりである。ちんちくりんの頃よりは随分落ち着いたけれど、まだまだ少年の心を持っていそうなのも大変なによりである。擦れてないよね。お姉さんそういうとこ好き。君たちより上はほんっと可愛くないからね。

とりあえずコテツくんの首元をなぞってみる。ぞわわわ〜

「ひっ…!?うわわわわわ」
「うわっどうした!?」

そしてイズモくんには頬を撫で上げてあげよう。かわいい女の子のお手々だぞ〜 ぞわわわわ〜

「ひいっ……!?なななななな」

慌てて辺りを見回す2人は、忍びにしては随分マヌケだ。まあ休憩時間の忍者オフモードを強制解除した私も悪いんだけれど。

「おーい2人、どーしたあ?」
「いや、なんか、寒気が…」
「冷たい手?みたいのに触られて」
「はあ?」
「暑さで頭沸いたんじゃねえの…?」

くつくつと笑いつつ数人にいじられている中忍コンビを眺める。次はもうすこし姿を現してもいいかもしれない。なんか…………こう………天井から頭だけ逆さに出したり………髪の毛だけ見えるようにしたり………?
正直見えるようにするのは疲れるし普通に透けるんだけれど、まあ夏だし?たまには顔を合わせないと忘れられそうだし?というか私は忘れられたくないからずっとここにいるわけなので?

「っはーーー生きがい!!!」

みんな怖がってくれるし、もしかしたらそろそろ誰がこっちに帰ってくるかもしれない。なんてったってお盆!ビバお盆!!あっカカシ後輩このクソ暑いのに任務かい大変だねぇ〜〜!!どれどれ私が涼を提供してあげよう!ぞわわわわわ〜!

「うっ………わ………」

軽い舌打ちと「いい加減成仏してくださいよ」という言葉は聞こえないふりである。







8月8日 テテのツイート
木の葉で漂う幽霊になりたい ガチの こわいやつ

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