セッしないと出れない部屋に札屋とゲンマが入ったとして多分しなくない?いやでもアヤシイオクスリとかを札屋が誤飲すればわんちゃん(ここまでタイトル)


落ち着け、と頬に添えた手だけで、身体は耐えきれないとでもいうかのようにビクリと震えた。目が勝手に熱くなり、視界が潤むのを感じる。こんなの、自分じゃない。

「おねがい、しますから」
「………後悔してもしらねえぞ」

こくりと首を縦に降った途端、顔が急に近づいた。ひとつ、ふたつと唇の端にキスをおとされる。焦れったくなって口を開けると、ゲンマさんは困ったように眉をひそめた。

「悪いな。これで我慢してくれ」

ふに、と唇に触れたのは骨ばった指だった。顔を逸らすかのように横へ移動した頭を目で追って、抗議の声を上げる。

「ちょ、げんまさ、」
「すまん」

吐息に体を強ばらせると、かぷりと耳を噛まれた。濡れた感触が首を伝う。

「う、ひ」
「何も考えるな。目、つぶってろ」
「な……!」
「悪いな……」

絞り出されたようなその声は、なんとなく、罪悪感に濡れているように感じた。これは、もしや。

拘束とは言えないくらいの強さで押さえつけられていた手は、軽く抵抗するとするりと外れた。
動きを止めて離れようとしたゲンマさんに、ふつふつ腹が立ってくる。この人は、壊れ物でも扱っているつもりなのか。

ぺちん、と音が響いた。思ったより力が入らなくて、軽くて小さな音だったけれど。

「加害者は、わたしです」

丸く見開かれた瞳に笑いがこぼれる。今は子どもの姿だけれど、中身はもう少し大人びているのだ。甘く見てもらっちゃ困る。

「だから、わたしが、襲ったんです」

彼の頬に触れたままだった自分の両手を、そのまま首に回す。なにやら唖然としている顔を思いっきり引き寄せて、近づいた耳に噛み付いた。

「な、」
「べつに、怖がってないので」

ぱっと両手を離して瞳を見ると、薄い色の向こうに、悪い顔をした自分が見えた。



(ここで「実質セッーーー!!」という言葉と共に扉が開きます)
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