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旅に出る前まで、俺はそこそこ強い剣士だと思っていた。
ラスク家は有名な剣士の家系だし、王子(佳薗)の護衛役に任命されたし、タケルに剣術を指南していたから。
でも、それは自惚れだった…。




ムスラン)「もう、おしまいかい?」


『クルシス軍 第三小隊 副隊長』その肩書きは裏切ること無く、彼は少佐という高い階級に身を置いている。


カイ)「くっ…!!」


彼も剣士だ。
俺よりも、かなり強い。
軽い口調で、笑みを絶やさず、それでも彼の瞳は笑っていなかった。


ムスラン)「どうする? 稽古、終わりにするかい? カイくん、とても疲れているみたいだし」


戦いに対して、彼は手抜きをしない。
少佐と手合わせした時に、"常に本気を出さなければ、死ぬ"と感じた。
この人にボロ負けして、剣術を指南して欲しいと頭を下げたのは、もうだいぶ前に感じる。




佳薗の護衛が、簡単に負けるなんてできないから、下げたくもない頭を下げて、言いたくもない言葉を言った。
少佐は、それをわかっていたようで、自然体で接してくれて構わないと言ったのだ。
年下で生意気で言葉遣いの悪い俺に…。


カイ)「……まだ、だ…」


旅に出る前まで、俺はそこそこ強い剣士だと思っていた。
ラスク家は有名な剣士の家系だし
(家系が有名なだけじゃないか…)

王子(佳薗)の護衛役に任命されたし
(ナティアが俺を推薦したからだ…)

タケルに剣術を指南していたから。
(基本しか教えられてないだろう…)

自惚れてんじゃねぇよ。
過去の俺。




カイ)「まだ、やれる…!! 佳薗の護衛剣士が、稽古でへばって堪るかよ!! 次は、負けねぇっ!!」


苦しい顔は見せない、まだまだ余裕だというように笑ってやるのだ。


ムスラン)「ふふっ… 元気でなにより」






>>秋空鈴音のひとこと


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