愛しくてたまらない


平和だね。

そう呟けば、そうだな、という答えが笑い声とともに返ってきた。そのやり取りさえも愛おしく感じられる。


エースは、私のお腹に手を当てて、まだ生まれてこねぇのか?、と尋ねた。


「赤ちゃんは10ヶ月しないと生まれないの!!何回も言ってるでしょ!!」
「それは知ってるけど早く会いたいじゃねぇか」


口を尖らせたエースはまるで大きな子供のようで、くすっと笑ってしまった。


「あ、今お腹蹴ったよ!!」
「本当だ!!こいつも早くおれ達に会いてぇんだろうな」


そういう眼差しは、すごく温かくて優しくて、涙が溢れてきた。
するとエースは慌てて、痛いのか、と聞いてきたけど、そうじゃないんだよ。


「エース」
「どうした、」

生まれてきてくれてありがとう。

そう告げれば、エースは照れたように、それは今おれに言うことか?、と言った。

大きく頷いて言う。


「私ね、すごく嬉しいの。好きな人達と一緒にいられて、好きな人と結ばれて、好きな人との子供を授かって。それが当たり前のようにあるからあんまり実感しないけど、当たり前じゃないんだよね。すごく、すごく素晴らしくて素敵なことだと思うの。だから、」

嬉しくて泣いてるの。

自分でも困ったようにいえば、エースはいっそう優しく笑って言った。


「おれもお前に会えてよかったよ。」

大好きだ。

そう言って私を抱き寄せるエースの力がまた優しくて、余計に涙が溢れる。



ねぇ、
これから私達にも、生まれくる子にも、たくさんの大変なことが待っていると思うの。辛くてどうしようもない気持ちになることもあるかもしれない。でもね、それは生きてるからこそ感じられる痛みなんだよね。
本気で苦しいときに、そんなこと言われたら腹が立つこともあるかもしれない。でも、それを忘れなければ、世界はいつだって、私に優しさをくれると思うの。そしたら、最期のときも、笑顔でいられると思うから。ありがとう、って伝えれられると思うから。

これからもずっと傍にいてください。大好きだよ。



愛しくてたまらない
(世界はこんなにも厳しいけど、こんなにも優しいのです)



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辛くて辛くて、どうしようもない状況にある方がたくさんいます。でも、これだけは言わせてください。生きていてくれてありがとうございます。この感動を伝えられるように、ボランティア活動、参加していきます。

(20110402)



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