笑顔に向かう途中で


一人佇み、陽の光を浴び輝く広い海を眺めている海賊の大頭。


「シャンクス。」



なまえは後ろからそっと歩み寄り、隣へと並んだ。



何も言わずに二人ただ、そのまま心地よい潮風に吹かれ海に向かう。




「ここまでの日々が、長いようであっという間だった」



「そうだな」



「あの状況で、毎日毎日宴に参加させるって・・結構すごいことよね。」




「悪かったって・・・だが、毎日沈んでいるより少しでも楽しい事させてやりたいだろ?」




だからって宴なの?と、思わずプッと吹き出してしまった。




「ちゃんと笑えるようになったのはいつからかな」




なまえは伏し目がちに、自分のお腹に両手をあてる。




「考えてない内に笑えるもんだろ」



シャンクスは自身のマントの中へとなまえを包んだ。





―島が見えたぞーーー!!



見張り台に居るクルーの大きな声が船内に響く。


なまえは一瞬緊張が走るのを感じた。





「降り立つのは怖いか?」




「少し。でも、」





言いかけた時、港が見えてきて大きく手を振る漁師の男たちや近くで店から顔を出す女たち。


子どもが大きなレッド・フォース号を指差し興奮気味に何かを話している姿が見える。



「あ・・」



「賑やかそうだな。」




変わらない、懐かしい見覚えのある顔がそこにあった。





シャンクスがいつものように肩を抱く。








「よし。今日は宴だな!!」



「・・・毎日でしょ」






―そう言うとシャンクスは豪快に笑い、私のお腹に手を当てて愛おしそうに見つめた。



二人共に、ゆっくりと歩き出す。








何から伝えようか



私にも新しい家族が出来た事



そして、新しい命を授かった事



旅の途中での出来事、それから・・・





ううん、その前に






「・・・ただいま。」













―泣いたり、考えたり、怒ったり




私は生きている証を感じながら、笑顔にたどり着いた事。




(20110426)




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