(※注意) 他ジャンルの二次創作です。 薄桜鬼の沖千です(´∀`) ↓ ↓ 「騒々しいねえ、君は」 襖を開けると、沖田さんがうっすら笑いながらそう言った。 「…すいません。沖田さんがお倒れになったと聞いてつい…」 「そんなの今に始まったことじゃないでしょ」 「……」 どこか吐き捨てるような言い方。その顔は青白く、真っ白な寝具に溶け込んでしまいそう。 「…そんな顔しないの」 「…すいません」 ポタポタと涙が落ちて畳に染みができてゆく。 どうして私は沖田さんを困らせることしかできないのだろう。本当は支えになりたいのに。 「千鶴ちゃん」 「はい」 「僕はもう長くないだろうね。」 「っ!そんなこと言わないでください!」 思わず大声をあげてしまい、私はハッとした。沖田さんはさっきと変わらず笑っている。 だけど、なんて悲しい顔なんだろう。嫌でもわかる。沖田さんにこんな顔をさせているのは自分だ。 「僕ね、前は別にいつ死んでもいいって思ってた。あの人の、近藤さんの役に立てるならそれで」 「…」 「でも今は死にたくない、かな」 なぜですか。そう聞こうとする前に、沖田さんの腕が背中に回っていて、いつの間にか私はスッポリと包まれていた。 「なんでかわかる?千鶴ちゃん」 「…わかりません」 「君は…、まぁいいか。教えてあげるよ」 何がおかしいのかわからないけれど、沖田さんはくくっと笑う。 「僕、前はよく君のこと斬るとか殺すとか言ってたよね」 「はい」 「それを実行することは僕にとっては簡単なことだったんだよ。 最初はなんで土方さんが君を殺さないのかが理解できなかったし。 僕は冷酷な人間だからね」 「…でも、沖田さんは私が邪魔になっても足手まといになっても守ってくださいました」 「うん、予想外だったよ。…僕は君を殺せないとわかってしまったから」 「…」 「ねぇ、千鶴ちゃん。 僕には“君を守る”なんて言えないけど、それでも側にいて欲しいって言ったら君はどうするのかな?」 「…お側にいます。ずっと、ずっと」 「僕が起き上がれなくなっても?」 「はい」 「僕がしゃべれなくなっても?」 「はい」 「…そっか」 「はい」 さっきよりも、抱きしめられる腕の力が増して少し痛い。 だけど、そんなの気にならないくらいに幸せな気持ちになった。 悲しくて涙は止まらないけれど、そっか、と言った沖田さんの声は今までで一番優しくて愛おしかったから。 10/09/02 |