(棗×蜜柑 学パロ)

恋なんて知らなかったし、別に今は知らなくてもいいと思ってた。
やけど最近おかしい。頭の中でアイツのことばっか考えてる。ウチはどうしてしまったんやろう。

「あたっ!?」

そんなふうに思ってたら頭に鈍い痛みが走った。
振り向けば、今まさに考えていた人物の姿がそこにあった。

「な、なつめ…」

彼の手には学級日誌が握られている。なるほど、ウチはあれで叩かれたのか。
そんな呑気なことを考えていると今度は鼻をつままれた。

「な、なによ、なしゅめ!」

「邪魔。」

一言だけ言って棗はウチの横をすり抜けて行く。…ふん、棗のドSめ。
なんであんな奴のことをぐるぐる思いだすんやろう。ヘンや、ヘン!
あんなドSと日直なんて、運のつき。
女の子からちょっとキャーキャー言われてるだけで、別にウチはなんとも思って…ない…んやから!


「ふぬぬぬぬ…っ!」

黒板の上の方に手が届かず、思わず変な声が出る。
ジャンプでもしようか、と思った時、横黒板消しを横からヒョイと取られた。
そのままスイスイと黒板が綺麗になっていく。
あれ、棗がなんで…なんか…優しい?

「ん」

消し終わると棗はウチに黒板消しを差し出す。目がばちりと合う。
ウチは受け取ると、おもわずぐりんと顔を背ける。

「あ、ありがと」

まただ。また…なんだか胸が苦しくなる。
きゅうう、と締め付けられるような。これ何て病気?

「蜜柑」

「は、はいっ」

「…“はいっ”てお前…」

棗はくく、と笑う。しょうがないやん。棗がいきなり名前を呼んでくるからびっくりして声が上擦ってしまったんや。
…というか、それよりも。そんなふうに笑うとか反則や。
滅多に笑わんくせに、そんな顔するなんて…ちょっと自惚れそうやしドキッとしてしまう。

「俺、今日バイトだから日誌出してすぐ帰るし、気ィつけて帰れよ」

「…うん」

彼の背中を見送ったあと、自分の頬に手を当てる。顔があつい。
これって、もしかして。いやでもウチに限って。しかも相手が棗って。
「蜜柑ちゃんって棗君と仲いいよね。好きなの?それか付き合ってる?」
という友達の問いに、んなアホな、ただの友達やと何度も言ってきた手前、こんなこと言えない。
誰にも言えない。ウチは棗が好きかもしれない、なんてそんなこと。


気持ちをマナーモード
(誰にも言えない気持ち)


10/12/21




蜜柑視点書きやすいです。棗視点を書こうと思ってた、は、ずなんですけど…ね…。
タイトルは夢パティSPのOPでした。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -