押し迫るように体に感じる。だるい梅雨のそばに、夏がきていた。

土方は立ち止まって煙と一緒にため息をつく。またあの暑い暑い季節がやってくるのかと。空は一面曇っていた。まだ梅雨は明けていない、もう一降りするかもしれない。湿った暑さにじわりじわりと迫られる。煙草を口にくわえその味で込み上がる感情を誤魔化した。太陽は隠れていてどんよりと光が広がる。まっすぐに強く伸びるそれは拝めなかった。しかしこれくらいでちょうどいいのだ。土方は力いっぱい煙を吸い込む。あの暑さは、眩しさはたまらない。いつかの日を思い出しそうでたまらない。隠れた太陽にあの夏を求めてしまいそうでたまらない。季節の変わり目に出来た隙間にすっぽりと自分が入りそうで恐ろしかった。変わりに煙を吸い込む。濁ったそれですべてを誤魔化すように。もうあの眩しさを拝むことはできない。曇った空とじめじめとした暑さで、黒い隊服が自分を締め付けた。それでいいのだ。過去は振り返らない。自分の信じた道に迷いは許されなかった。


雲が透き通って太陽が覗いた頃、暑い暑いと唸り出すようになった頃、墓参りにでも行こうと思った。




後悔と虚しさと夏
(あの眩しい情景の中の君と僕)












080619
感傷に浸る土方。墓参りきっとミツバさん





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