その日は非番だった。珍しく朝から街を歩いてみる。すると刀をぶら下げた汚い浪人を発見。目が合う。相手は驚いた顔を見せ、次いで俺を睨み付けた。殺気の籠もったそれに、身体が刺激される。最悪だ。相手の男が刀を抜いて地面を蹴った。この男は、自分がもともと仕事熱心ではないということを知らないのだろう。その上今日は非番だ。隊服を着ていないというのに幕府の犬めと叫び迫られる。攘夷志士か、と改めて納得したところで男の勢いは止まりそうになかった。最悪だ。

興味がない。興味が湧かない。一方的に斬り付けてくるのだから、いっそ一方的に斬られてみてはどうだろう。目を閉じて想像する。己の身体から赤が噴き出すそれを見るつもりが、違うものを見た。そうして思い出した。天才とうたわれるのはどこのどいつだ。

目を開けると、想像通りの惨劇を見た。顔が歪む。もしかして俺は、笑っているのだろうか。


(そそられた)




その日は非番ではなかった。珍しくまともに見廻りをしながら街を歩く。すると刀をぶら下げた汚い浪人を発見することはなかった。しかしすれ違いざまに男に言葉を呟かれる。その男は人混みに埋もれて消えた。先日いなくなった男も同じことを叫んでいたなァと思う。なるほど賢い。賢くて汚い。汚いヤツだ。試しに目を閉じてみた。何も見えない、天才とうたわれるのは果たしてどいつだったか。目を開けて、変わらぬ景色に顔が歪んだ。
俺は、笑っている。

(そそられない)






この世界に興味なし

こうしてまたサボる日が続く



081011





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