4

LINEを聞けて、連絡が取れるようになった。まだ自分から鈴木さんに連絡をしていない。LINEで追加しあったことに対しての社交辞令のような言葉と、鈴木さんらしい可愛いスタンプが送られてきたきり途絶えている。

季節外れの雨は暴風豪雨警報がでるほどの勢力に飛躍していた。自宅の窓は叩きつける雨と吹き荒ぶ風の音で喧しい。交通網は麻痺、学校は休校。部活動も当然、休みだ。この天気では家に引きこもるしかなく、勉強道具を広げ缶コーヒーを開けて、参考書を解いている。

すると携帯から音がした。LINEの通知音だ。シャーペンを置いて、ベッドで充電中の携帯を少しの期待を抱いて手に取りタップして見る。木兎さんから自宅のフェンスが風に飛ばされていった動画が送られてきていた。それを見ている間に、メッセージもきた。

"俺んちヤバイ!!あかーしんとこ、大丈夫!?"

"特に異常ありません"とすぐに返信し、今度は鈴木さんのLINEを開く。木兎さんのおかげで、LINEで鈴木さんとやり取りできる方法がわかった。あまり絡み過ぎないよう、さり気なさを装って短く送る。

"酷い異常気象ですが、大丈夫ですか?"

あとは返信を待つだけだ。携帯を枕元に放り、机に戻る。携帯を見たまま返信を待ち続けるのは、気の長いことに思えた。


。。。。


お風呂を済ませて部屋に戻ると、携帯に通知がきていた。

"天気は関係ないんだけど、昨日、歯医者さんで親不知ぬいただけで顔面腫れちゃったの(;ω;)痛くてあまり食べられなくて、お腹すいた〜"
"それは、お大事にして下さいm(_ _)m
はやく治るといいですね"

鈴木さんからの返信は遅かったが、ペースを合わせてやり取りするのもややこしいと思い、木兎さんのとき同様すぐに返した。鈴木さんは苦しんでいるのに不謹慎だが、相手の状況がすぐに分かるというのは何だか落ち着く。バレーの試合中を除くと、普段から無感動な自分だが感情の起伏がわかる。鈴木さんを初めて見つけたときから、自分の心は揺れている。心地よい揺れだ。バレーの試合中と同じくらい、惹きつけられてやまない。

お風呂あがりで温かい身体を布団に沈めた。布団に転がって天井を仰ぎ、目をつぶる。彼女から受ける心の揺れはこの感覚に似ている。心臓の鼓動は速いリズムを刻んでいた。

戻る