His story | ナノ
強さ。
グロ注意
初めて人を斬った時
真っ赤なてらてらの飴玉がオッサンの口から零れた
飴玉の味はきっと鉄の味
とっても苦い味
気づいて見たらそれは誰かの目ん玉で
恥ずかしい事に俺はそれを見てゲロを吐いた
今、同じ状況にあったのなら
きっと
「この答え聞いたらお前は俺を嫌いになりまさァ」
「良いから言えヨ。」
あまりの爽快感に狂うだろう
俺が殺したやつは人を殺していた
その背徳感の無さ、罪悪感の無さにその爽快感に酔い2度と正気に戻る事は出来なくなるだろう。
それが、怖い。
徐々に薄くなっていく血の温さと同じ様にきっと
もうその感覚が亡くなって、俺自身が保てなくなって
俺自身が死ぬんだとその瞬間に思うのだろう
「ふーん」
「絶対ェ分かってねーだろィ。」
くるりと俺に背を向けたそいつは少し寂しそうにぽつ。と呟いた
「」
ん?
「お前が弱虫なのは分かったアル!あーあ、興醒めネ!!」
「お前、」
今、私だってって言わなかったか?
今にも泣きそうなその顔にそんなこと聞けるはずもなく、ビビリな俺はあっけらかんとするそいつに憎まれ口しか叩けない。
「お前がそーなったって俺が戻してやりまさァ」
小さく笑うお前はきっと俺よりも、ずっと。