WARNING!!
このお話は途中までZ受性的表現有です、苦手な方は今すぐリターン!



























堕としたくなる、


























普段、情事の際はそれが必然とでもいうようにクラウドが受け手に回る。初めての相手がザックスだったのと、過剰な程の愛を彼から貰って、自然と役割は決まっていた。それに疑問を覚えたりした時期もあったが、相手がザックスであれば別に憤りだとか男としてのプライドだとかそんなもの関係なかった。
最初こそ抵抗があったものの、再会を果たした今でもその役割に疑問も反抗もなかった。この時ばかりは自分が女であれば良かったのにと思う時もある。
けれども自分が自分で居る限り、ザックスはこんな己を愛してくれると云う。一度くらいは、ザックスと立場を逆転しても良いかもしれない。そんないかがわしいことを仕事帰りに考えているような素振りは微塵も見せないポーカーフェイスで帰宅し、フェンリルを裏口のバイク収納庫に収めると既に時刻は夜中近くを回っていた。あと5分で今日が終わり、明日がやってくる。幸い明日は定休日だからゆっくり寝れるなと思い、気配を消して静かな自室へと上がっていった。
ドアを開ければ、引き締まった身体が窓の方を向いて寝息を立てていた。先に寝ているなんて珍しい。薄手のシャツの上からでも解る筋肉の逞しさは、ソルジャーでなくとも雄々しい。高い鼻筋に、陽に焼けた浅黒い肌、綺麗な紺の瞳が見れないのが残念だが、憧れていた男としての完成体の全てを、ザックスは兼ね備えていた。
時々思う。ザックスは寝ている時はいつも以上に色気を感じる。寝ている時ですらカッコいいのだからずるい、と。寝ている本人の寝顔を覗き込みながらそう思った。
「ん…」
呻きながら、軽く寝返りをうつ。はらりと垂れた、今は固められていない黒髪が顔に掛かって、余計に艶めかしく見えた。寝顔を見ているだけでこうも興奮するものか。改めて見なくともカッコいい恋人の顔が、今は僅かばかりに幼く見えて。昔子犬と呼ばれていたであろうそそっかしい彼を思い浮かべてはくすりと穏やかに笑んだ。
「…なに、笑ってんだぁ…?」
今ので起きてしまったらしい。ソルジャーでなくとも気配に聡いのが、少し憎らしく思えた。
「ただいま。アンタの寝顔、観察してた」
「可愛かったろ?」
寝ぼけ眼を擦りながら、なおも身体を横たわらせた侭ザックスが云う。
「ああ、可愛かった」
真顔でそう云ってやれば、
「よせよ、可愛いって柄じゃねぇや」
とからりと笑う。本当のことだ、と云わんばかりにクラウドから唇を押し付ける。一瞬ザックスが目を見開くが、直ぐに応えてきた。
ザックスの硬質な髪の毛の隙間に指を入れて、絡めながら咥内を貪る。強く舌先を吸って、それを何度も絡めた。歯列をなぞり上唇を吸って、幾度か繰り返して。互いに息が切れ切れになってきたのを見計らって、クラウドは試しに片手をザックスの胸元に当てがる。指先で首筋をなぞり、下から上へ、上から下へ、白い指で擽るように掠めていった。唇が離れ、それでも後数センチで触れる距離で留め目を開ければ。濃紺の瞳が挑発するようににんまりと笑っていた。
「何?クラウドってば俺を抱きたいの?」
つつ、とザックスの長い脚がクラウドの脹ら脛をズボン越しになぞる。短絡的だが解りやすい誘いに、クラウドの下肢が一気に疼いた。しかしどことなく恥ずかしくて、なぞる程度に終わってしまう。そんなクラウドにザックスはまたくすりと笑った。
「そっか、お前逆は初めてか?」
「…………」
どう答えて良いか解らなかったので素直に頷くと、ぎゅ、と抱き締められる。
「よしよし、じゃあ俺が教えてやるよ。本当はクラウド相手なら俺が上の方が良いんだけどな、偶には逆も刺激があって良いかもしれねぇし」
ザックスは思いの外楽しそうだった。言葉から察するにクラウド以前に男との経験はあるのかもしれない。そう思うと、胸の中が少しちりりと痛んだ。
「云っとくが男を抱いたのはクラウドが初めてでクラウド以外の男を抱いたことはないからな?」
「は…?」
「まぁ、あんま話したくはねぇんだけど、男に抱かれたことは、一回だけ、ある…」
顔を背けながら、ザックスはいつもより暗いトーンで言葉を紡いだ。しかし返ってきた言葉はクラウドの想像を上回っていて、思わず呆けてしまう。ザックスでも男に抱かれたことがあるのか。その事実が、何となくショックだった。
しかしザックスを抱いたことがある人物とは一体誰なのか。こういう時自身の頭の回転の速さに嫌気がさす。とりあえずダメ元で口に出してみた。
「もしかして、セフィロス…?」
「…クラウドは本当聡いよなぁ。正解だよ、英雄なんて呼ばれてた変態極まりないあのおっさんだ」
セフィロスのことを変態だのおっさんだのと呼べるのは後にも先にもザックスだけだとクラウドは思う。苦笑しながら少しむくれた年上の恋人の頬に軽く口付ける。
それに気を良くしたのか、また脚がクラウドの腰に絡んだ。
「とりあえず、お前の熱棒で俺を天国までイかせてくれよ」
なぁ、クラウド。
普段とは違った官能的な声に、クラウドは弾かれたようにもう一度唇を塞いだ。

























「ザックス、気持ち良い…?」
ザックスの服を全て脱がせて、生まれた時と同じ恰好にさせた。脚を広げて、半分まだ柔らかいがそそり立つ熱芯の先端をちろちろと舌先で舐めてやると、だんだん硬度を帯びてくるのが嫌でも解った。しかし立場が違うだけで視点も変わるものだと、口淫を施しながら思う。ザックスの手がクラウドの金糸を掴む。時々びくりと腰が揺れた。気持ちいいのか、息がだんだん乱れていくのがよく解る。
「クラウドッ…竿、舐めて…」
口淫は元来得意ではない。だが迷っているとザックスがこうして催促をしてくる。云われた通りゆっくり、竿を舐めた。
「んっ、そう、…んで、ぁ…そのままっ、先端咥えて、強く吸いついて…ッ」
「こう…か?」
じゅ、と音を立てながら強く吸い付く。またびくりと跳ね上がる腰。閉じないようにしっかりと開かせた侭、頭を上下に動かしながらまた吸い付いた。
「んぁ…ッ!は、それっ、やばっ…!!」
いつも余裕を感じさせる態度は今は微塵もない。切れ切れの息に、言葉に、切なげに寄せられた眉も閉じられた目も、何だか胸にきゅんときた。気持ち良さそうに喘ぐザックスが愛おしい。拙いであろう自分の愛撫に感じてくれているのが嬉しくて、クラウドは先端を吸い付きながら硬度を更に帯びてきた竿を上下に扱く。じゅく、じゅく、と卑猥な水音が余計にいやらしく感じた。
「はっ、あ、クラウドッ…!」
ザックスの腰が痙攣してくる。びくびくと小刻みに揺れる態を見て、更に速度を上げた。
「んっ、ふ…、あぁっ!」
吸い付きながら先端の穴にグリグリと舌先を突っ込むように刺激してやり、更に強く扱いてやれば。
「あ、あ、駄目だっ、は、――――あぁッ!?」
びくんっ!と強く腰が揺れ、クラウドの喉の奥に流し込むように射精した。クラウドも嫌がることなくそれを当たり前のように嚥下する。粘り気のある苦味に眉を寄せるが、毎回行為の為に自分のを美味そうに飲み込むザックスは凄いなと思った。
最初に放たれる精液は青臭くてやっぱり苦手だ、と思いながら、ぐったりとしているザックスを覗き込んだ。
「やっべー…俺クラウド相手なら下でもイイかもしんない…」
どこか恍惚とした表情は、最初よりもぐっと色気を増していた。それに思わず、胸が高まる。顎を引き寄せられ、キスをされた。ザックスの舌がクラウドの咥内を縦横無尽に舐め尽くしていく。気付けば精液の苦手が薄くなっていた。ザックスが唇を離すと、うへ、と呻く。
「にっが…ごめんなクラウド、飲み込ませて」
「いや、俺がそうしたかっただけだから、気にするな」
「クラウドのは美味いって思うけど、やっぱり自分のは飲んでも美味いだなんて思えねぇわ…」
その言葉にまたも好奇心と僅かな嫉妬。ザックスの逞しい胸板に顔を擦り寄せ、鎖骨をなぞりながらクラウドは尋ねる。
「セフィロスは、どんな風にアンタを抱いたんだ?」
「あー?んー、そうだな…鬼畜だったな」
曰わく、セフィロスは羞恥心が人一倍薄かったようで詳細までは教えてくれなかったがザックスにとっては相当恥ずかしい恰好や体位で抱かれたらしい。
「もう奴とは二度とシねぇ」
吐き捨てるように言い放つザックスに、クラウドはぎゅ、と縋るように抱きつく。
「…どした?」
ぽん、と宥められた気がした。立場がこうして逆転しても穏やかなザックス。やはりザックスが本当に大切で愛しいのだと改めて思い知る。それ故、いくら昔尊敬していた元英雄が相手でも、胸中は複雑な想いに駆られていた。
「安心しろよ。あいつとの間には愛とか恋とかそんな甘ったるい感情なんてなかったから」
「じゃあ、どんな関係だったんだ…?」
ザックスのクラウドの頭を撫でる手がぴたりと止まる。僅かの間をあけて、ザックスは撫でていない方の手を天井に向かって伸ばした。まるで何かを掴むように。
「…ただの傷の舐め合い、かな」
ぐ、と拳を作り、額へと口付ける。その侭瞼に、鼻梁に、頬に、そして唇に。また舌が、クラウドの中に入っていく。ぐい、と腰を抱き寄せられる。再度硬度を帯び始めたザックスの熱芯がクラウドの中心へと当てがわれた。それにクラウド自身も熱を伴っていくのを感じると、とさ、とクラウドの身体がシーツへと沈む。
「…え?」
「甘いなぁクラウドは」
頭上からは愉しげな声。気付けば両手が一纏めにされ片手で押さえられていて。眼前にはにっこりと先ほどとは違う笑みを浮かべる恋人の笑顔。
「おい、ザックスッ!」
「詰めの甘いクラウド君に質問です」
「?」
また笑みが濃くなる。耳元で囁くように、ザックスが静かに紡いだ。
「今日は何の日でしょうか?」
「は…?」
目を凝らして先ずは時計を見る。時刻は夜中をとっくに過ぎており、気付けば『明日』になっていた。次に壁掛けカレンダーを見れば、明日である今日は、
「…エイプリルフール?」
「ピンポーン、大正解。では更にここから質問です」
ザックスの右手が、クラウドの股間に触れた。
「俺の話はどこから本当でどこからが嘘でしょう?」
すぅ、と細められた濃紺。それは正に捕食者の眸。
それを見た途端に背筋を快楽が伝っていく。
首筋を噛まれた瞬間に思った。


















自分はやっぱり、受け手に回る方が性に合っている、と。


















それでも、やはりザックスの寝顔には毎回胸が高鳴ってしまう。
そして、思った。
あの時手を伸ばしたザックスの声と顔は、紛れもなく本物だった。
あんな風に顔を苦痛に歪める彼は、あまり見たことがない。
それ故なのか、それともクラウド自身そういう趣味が少しはあるのか。



















もっとあの紺を堕としたい、そう、思った。



















あの銀の英雄と過去に何があったか、そんなものはどうでも良かった。
何よりも、あの銀の英雄以上に、クラウドの芯まで彼を堕としてやる。
そう、だんだん堕としていけばいい。
自分無しじゃ生きられないよう、自分も彼無しでは生きられないよう。
歪んでいようが何だろうが、それが、確かな愛の形なのだ。






















クレイヂィモアラヴ!
(骨の髄まで、愛してるから)



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