※CC時代、友情出演=英雄

それは、偶然が偶然を引き起こした出来事だった。
憧れでもあり、今では(恥ずかしいが)恋人とも呼べるソルジャー1stのザックスとたまたま任務が一緒で、その任務に何故か暇つぶしという俺からしたら羨ましいくらいの強さと美しさを兼ね備えた新羅が尤も胸を張り広告塔となっている英雄セフィロスがたまたま着いてくることになって。ザックスは文句をぶーたれながら仕方なしにセフィロスの援護をしながら俺を含む一般兵の面倒も見てくれて、ザックスが居るのにも関わらずあの英雄がこんな至近距離に居るなんて!とやはり胸を躍らさずにはいられなかった。他の同僚たちも同様のようで、俺たち一般兵はテントの中ではまるで女の子たちのようにセフィロスのたたずまいだとか口調だとかを兎に角語り合った。興奮もしていた。もちろん緊張も。それはミッションだから、という理由は今回置いておいて、あの英雄セフィロスが自分たちの視界に入るなんて!といういたってミーハーな理由からだった。普段の俺なら同僚が騒ごうが何をしようが無視を決め込んで、失敗をしないようにマイペースに武器の確認だとか明日向かう先の地形や天候を自分なりに調べていただろう。しかしそんな当たり前且つ些細なことを怠ってしまったゆえの、そしてザックスという恋人が居るのにも関わらずそっちのけでセフィロスを目で追っていたりなんかした、つまりミッションを怠けていた俺への罰なんだ、そう思うと、後悔してもしきれなかった。


* * * *


今回のミッションは、至極簡単なものだった。コスモエリアへの、モンスター調査。あの辺りは魔晄炉を使っている土地は少ない。故に自然に生まれた野性のモンスターが数多く蔓延る土地であり、場所なのだが、一部の渓谷地帯ではモンスターが大量に発生しているらしいという情報が入った。正直ソルジャー、しかもクラス1stが出るような幕はないような簡単な内容だ。調査だけなら2ndや3rdだけで十分。しかしジェネシスというソルジャー1stが失踪した事件を引き起こし、それが解決した今もなお、ソルジャーは人手不足だ。ゆえに別の任務を終えたばかりのたまたま休暇に入るところだったザックスが借り出され、その暇つぶしに付き合うという名目でセフィロスも共に同行することになった。
(なんて豪華な組み合わせなんだろう…)
ごくり、と俺は思わず生唾を飲み込む。ザックスのお陰で、今まで何度かセフィロスの部屋で飲みをしたことはあるが、ミッションは未だ一緒になったことはない。英雄は、新羅を代表する広告塔だ。彼に憧れソルジャーを目指す者がここ近年ミッドガルで急増しており、俺もその中の一人だった。憧れない者などいないだろう、あの流れるような銀の髪に、白い陶器のような肌、翡翠を象る切れ長の眸に、薄い唇に整った高い鼻梁。すらりとした長身と黒い革コートの上からでも判る、隆起している筋肉。左手で繰る刀は正宗。その長さはセフィロスの身体よりも長く、大きい。身の丈以上の諸刃を軽々と使いこなし、剣術だけでなく魔法にも長けており、博学で常に冷静沈着。男からも女からも、今ではすべての人間の憧れの的、だと俺は思っている。ザックスと並びながら先頭を切っている彼の後姿に、俺は胸を高鳴らせながら見つめていた。そして純粋に、ザックスが羨ましいと強く思った。彼はそれだけの功績を残し、認められ、努力をして、今の1stという地位に上がったのだ。それを一瞬でも妬んだ自身を恥じながら、俺は荷物をせおい直して未だ続く渓谷への道を歩いた。


「この辺りか?」
セフィロスが崖の先すれすれに立って、下方を見下ろしながら、ちらりと俺たち一般兵を見る。地図を取り出し、得ていた情報を照らし合わせていると確かにこの辺りにモンスターが大量発生しているという地帯で間違いなさそうだった。
夕陽が眩しい。コスモエリアの空模様はいつも不思議だと思う。一応朝から夜までの時間の流れは一緒なのだろうが、この地帯だけはいつでも夕陽が輝いているような、そんな錯覚を起こしそうな不思議な土地だった。この一帯だけ時間が少しずれているような。自然に囲まれた民族が立ち上げた一種のコロニーのような土地だから、そう思うのだろうか。同僚が広げた地図に、情報と照らし合わせながら発生したポイントポイントに印を付けて、ザックスへと手渡す。サンキュ、とザックスが小さく返し、顎に手を当てながら何かを考えている。
「この辺りは魔晄炉を使う人たちはほとんど居ない…の癖このモンスターの異常発生…何があってこうなったんだ?」
「…ザックス、」
「?」
セフィロスがザックスを呼び、俺たちは彼らの動向をただ静かに見守っている。二人は崖下を覗いていた。何かあったのか、なるほどなー、とザックスがわざとらしく同意を示し、俺たちの元へと戻ってきた。
「いいかお前等、今から俺が言うことをよく聞けよ。30分以内にこのエリアから完全撤収する。理由は至って簡単、グリフォンの繁殖期みたいだから奴さんたち殺気立ってやがる。奴等は空も飛べるから、気配は殺しながら、とにかくさっさとお前達は退散しろ。良いな?」
「「「イエッサー!!」」」
敬礼を返し、俺たちは元々少なく持ち歩いていた荷物を更にコンパクトに纏めて、撤収作業を行った。二人は、そこから動く気配はない。恐らく俺たちが完全撤収した後にグリフォンの大群を始末するつもりなのだろう。ちら、とセフィロスを見遣る。彼の戦いを間近で見れるチャンスだと思ったのに、それは今回叶うことはなさそうだった。そしてやはり、ザックスを少し羨ましく思いながら再度セフィロスの横顔を遠めで見つめていたその時。キシシシ、と何かの鳴き声が聞こえて振り向けば、ぎゃあ、と同僚の誰かが悲鳴を上げて倒れていた。
「バジリスク!?」
気持ち悪いほど原色を身に纏う巨大なトカゲ、バジリスク。ただのトカゲではなく噛み付いた生物を石化させる能力を持っている非常に厄介な野生のモンスターだ。しかも気付けば辺りを取り囲むようにどんどん増えている。俺は急いで背負っていた銃のセーフティを外してマシンガンを叩き込んだ。巨体の割にはすばしっこく、狙いを定めて引き金を引いた。襲われそうになった同僚に今にも襲い掛かろうとするそいつにも弾をお見舞いしてやったのと同時に、マガジンの中身ががちん、と切れた。
(クソッ!)
同僚が助かったのを一瞬で確認してから弾を換えている時間が勿体無い、歯を噛み締めてマガジンを地面に捨てると、スペアを懐から取り出し、装着する。その瞬間影が出来て、目の前までバジリスクが迫っていた。噛まれる!そう思っていたらトカゲは綺麗に一刀両断されていた。ぬめりを帯びた返り血が俺の制服に少しかかる。目を開ければセフィロスが興味なさそうにこちらを見て、そしてまた一撃、一撃、と確実にトカゲを切り刻んでいった。ザックスも同僚たちに声をかけ鼓舞しながらバスターソードを振り回し、トカゲを確実に仕留めていた。俺も負けていられない。そう思い直しまたマシンガンを構えると、再度トカゲが俺の方に迫ってきた。ガガガガ、と撃った時の振動で身体が後退するのと同時に撃っている軸がずれた。トカゲを仕留めきれず、今度こそ噛まれる!そう思った時。
「クラウド!危ない!!」
ザックスの声がして、いつも二人でいる時のような熱い抱擁をされて、そしてゴンッ、と後頭部に鈍痛が走った。一瞬星が見えた気がする。そうしてほどなくして、俺は気を失った。


* * * *


……は、……みたい…す…。ただ………とすれば、………くらい……で…。

(……? )
頭が痛い。というか、何だか少し鈍い。全身がだるくて、虚脱感に襲われていた。一体此処は何処で、俺は何なんだ?そんな疑問すら浮かんだ。目を何とかして開ければ、視界にまず映ったのは真っ白な天井と蛍光灯だった。後頭部に走る僅かな痛みに思わず眉根を寄せる。するとぬ、と現れた比較的若い白衣を着た男性が現れて、笑顔でこちらに話しかけてきた。
「やあ。気分はどうだい?」
「…頭が痛い、です…」
「そうか。では君の名前と年齢、出身地を教えてもらえるかな?」
「クラウド・ストライフ…16歳、出身はニブルヘイムです」
「ふむ、正常、と」
バインダーに挟まれた紙に何かをメモを残し、白衣を着た男は尚も俺に話しかけてくる。
「君は二日前にコスモエリアまで任務に行った。その内容は、覚えているかな?」
「…確か、モンスターが異常に発生するポイントがあるとかで、その調査に、行きました…」
「よろしい。それで、どうして自分がこうなったか覚えているかな?」
「…すみません、今ひとつ曖昧です…」
「記憶が一時混乱、と」
男はまたメモをぶつぶつと言いながら書き残し、にこりと笑んだ。
「とりあえずね、身体は異常ないみたいだし、自宅に戻って一週間くらい休養しなさい。一応君の所属する隊の部隊長にも私から連絡しておくし、公的にちゃんと一週間の休養っていう命令下されているから、無茶はしないようにね」
身体が異常がない?その言葉に疑問を抱き、俺は手足に意識を集中させて少し動かしてみる。ぴく、とあっさりと動いた。持ち上げて目の前まで持ってくれば、今ひとつ見慣れていないけれどどこかで見たような手の形が出てきた。肌の色は、少し浅黒い。コスモエリアに行って日焼けでもしただろうか。しかしあそこ一体の地域は砂漠であるコレルエリアに比べればまだマシな筈だが…とにかく寝台から身を起こし、立ち上がる。二日寝ていた割には身体の軋みもそんなに酷くなく、というか身体の疲れすらあまり感じない。異常がないという男の言葉(おそらく科研の連中だろう)はほんとうのようで、しかしまた違和感を覚えた。いつもより、かなり視界が高いのだ。自分はこんなに身長が高かったか。鏡が見えたので、そこまで移動する。そして、鏡の中に映っている人物を見て、俺は絶句した。
長い黒髪に、大好きな人の藍の双眸、高い鼻梁に、精悍な顔つき。ザックスが、鏡の中に居た。それはもう間抜けな面で。どうして、だとか、何故、だとか、今になって死んでいた言葉が甦り、つむごうと再構築していく。
「ええええええ!!!???」
それよりも先に出たのは雄たけび、だったけれど。


* * * *


「お、クラウドおはよー」
「………」
同居しているザックスの部屋に戻れば、一足早く目が醒めたのかザックスが俺の姿をしていて、満面の笑みを浮かべながらリビングで寛いでいた。俺って、そんな風に笑えたりするんだな。遠い目をしながら見つめていると、とてとてとザックスが近付いてくる。
「どうしたんだよ?元気ねえな?せっかく無事に生きて戻って来れたんだから、とにかくしゃきっとしろよ」
「しゃきっとも何も…」
この状態じゃあそんなこと言えない。少なくとも俺は。何でザックスは、平気なんだ。だって目が醒めたら自分の身体じゃなくて恋人の身体だったとか、正直冗談きついだろう。俺はきつい。何が哀しくて互いの身体を交換しなきゃいけないんだ。しかしそんな俺の考えとは正反対にザックスはぴんぴんしている。何て図太い神経しているんだ。
「何だよもうー、俺の顔でそんなしょぼくれた顔すんなよなー?男前が台無しだろ?」
今度は拗ねたように俺の腕(正確にはザックスの腕)を引っ張ってソファに座るように促した。とりあえず座ると、力が余計抜けて必要以上に背凭れに身体を預けた。
「何かあれだな、目が醒めたら身体が自分のじゃなかったっていう出来事って、マジであるんだな」
「…何でアンタはそんなに楽しそうなんだ」
こっちは全然楽しくないってのに。
「だって、クラウドの身体だぜ?何か改めてさ、クラウドの身体になって俺クラウドのことが余計愛しいなあって思ったよ」
「は?」
「クラウドが見てる世界は、こんななんだなーって」
「…………」
「とりあえずアレだよなー、お前背ちっちゃくてかわ「それ以上言ったらアンタの息子一生不能にしてやる」
「ごめんなさいそれだけは許してください」
きぱっと言われ、一体何をくだらないことを言うのかと思いきや。はあ、とあからさまな溜息を吐いて、何か泣きたくなってきた。
「クラウド?」
俺の顔が(中身はザックスだけど)覗き込んでくる。客観的に見て、俺はほんとうに童顔なんだなと思い知る。大きな丸い目に、薄いピンク色の唇に、青白い肌に、色素の薄い金色の髪に。ザックスみたいに雄らしい要素が何一つない。同じ美麗と呼ばれるタイプでも、セフィロスのようになりたかったなと思いながら、ザックスを抱き寄せる。
「どうした?」
優しく声をかけてきてくれるザックスが好きだ。愛しいって思う。けれども同時に、あの時のミッションで一瞬でもザックスを妬んだり、英雄である彼に見惚れていた自分を改めて恥じた。馬鹿だ。偶然が偶然に重なって偶然というか運悪くこうなってしまったのだろう。けれども、偶然で済まされないくらい、俺は自分のことが赦せなかった。もっとちゃんとしていれば、お互いこんなことになることもなかったかもしれないのに。そんな考えがぐるぐると思考を駆け巡る中、ザックスが俺の額を軽くつついた。
「クラウド」
名を呼ばれ、気付けば唇を重ねられる。いつも与えられるザックスからのキスなのに、薄く目を開ければ俺が居る。何だか変な感覚だ。俺が自分自身にしているみたいで、気恥ずかしくて、目を強く閉じた。するとまた、ザックスが俺の名を呼ぶ。目を開ければ、ザックスは笑っていた。
「気にすんなよ。あの状況で庇う時にお前の頭を強打しちまった俺の所為でもあるんだ。絶対身体だって元に戻るし、この先一生こうなるってワケじゃ、ねぇんだからさ」
だからそんなしょぼくれた顔すんなよ。
「…そんなに、俺しょぼくれていたのか?」
「おう。耳と尻尾が幻覚で見えちまうくらい、すっげえしょぼくれてた」
苦笑しながらザックスが「何かアンジールやジェネシスが俺のこと子犬って言ってたの理解できた気がするぜ…」、とザックスはザックスで何か思うことがあったのだろう、遠い目をしながらそう呟いた。ふと、ザックスが俺の上に跨る。そしてまた唇にキスをした。そのまま何度も啄ばまれる。ソファの背凭れに両手をついて、俺のことをザックスが見下ろす。
「なあクラウド、いっそこのままシてみねぇ?」
「は?」
何でこいつはいつでも盛っているんだ?この状況だぞ?この状況でそんなことを言うのか?だって互いの身体を交換した状態でするということは、
「何か自分が自分のこと犯してるみたいだよなー」
「人の心を読むなッ!!」
恥ずかしくて思わず叫んで反論すると、ザックスが瞳を細めてにいっと笑う。俺、そんな顔も出来るんだな。
「良いじゃん、今でしかできないこと、二人で楽しもうぜ?」
顔は俺だけど、ザックスが言っていることが恥ずかしいけどかっこよくて、思わず胸がきゅん、と締め付けられる。ザックスの肢体をそっと服越しに撫でる。すると「んっ」と小さく喘ぎながらザックスが反応を露にした。身体は俺だからか、少し敏感らしい。ザックスは俺の着ているシャツのボタンを器用に外しながら、俺の胸元をそっと撫でる。
「なあ、この場合、どっちがどうなるんだ…?」
純粋な疑問だった。身体は互いに逆なのだ。どちらが攻め手に回るとしても自分が自分を犯すという感覚には違いない。身体的には俺がザックスへ挿入れる側なのだが、それをザックスがよしとするのか…。俺の首筋に噛み付いていたザックスは顔をあげて、んー、と間延びした声で質問に答える。
「このままで良いんじゃね?それに、俺の身体がどこでどう感じるか、俺が一番判るしな」
ぺろ、と舌を出しながらザックスは妖艶に笑う。…また新たな自分の一面を発見して、胸中はとても複雑だ。ザックスが器用に息子を取り出し、半分勃ちあがっているそれをそっと掴む。
「ッ、」
「一緒に、天国イこうぜ?クラウド…」
その誘いに、俺はNOと首を横に振ることはできなかった。


* * * *


「あ…れ…?」
「クラウド…?」
やけに激しい1ラウンドだった。気付けば俺はザックスに跨っており、解放された時の独特の倦怠感に襲われていて、ザックスの胸元に寄り添っている。ザックスもザックスで、俺の髪の毛とか顔とか身体の肉つきを確かめるように、無遠慮に触れている。
「元に、」
「戻った?」
あっけなく元に戻って、何だか途端に身体から力が抜けた。科研の男からは一応一週間自宅休養している間に元に戻れる薬を開発しておくからと言われた気がしないでもないが、正直科研から差し出される薬なぞろくなものがないとザックスが常々言っているのを聞いていたのでそれも加わって鬱な気分でいたのだが、それは味合わなくて済みそうだ、とほっと胸を撫で下ろしたその刹那。
「…ずいぶん長い一回だな」
俺とザックスではない第三者の声が聞こえて、俺は、ん?と首をかしげた。
「おー、セフィロス。何しに来やがった?」
「お前が科研に忘れた荷物をわざわざ届けに来てやったんだ。ありがたく思え」
「………え?」
いつもと変わらぬ表情でセフィロスが淡々とザックスとやりとりをしている。ちなみに俺たちはまだ、繋がっている状態だ。俺に至っては、下半身を何を纏っていない。途端に、羞恥がこみ上げる。かあああ、と首から顔が赤くなり熱くなった。そしてちら、とセフィロスが俺を見てにやりと笑う。
「それと、そこの雛チョコボ」
「え………?」
「今度、俺の相手もしろ」
「え………!!???」
今、この英雄は何を言った!?俺に相手をしろって、相手って、組み手の相手のことだよな?だって英雄だぞ!?天下の英雄様が、俺ごときにそんなこと言うわけ…とまた混乱した頭がぐるぐるとさまよっているなか、ザックスが俺の腰を引いて強く抱き寄せる。気付けば中に埋まっているモノがまた熱を帯びて固くなってきていた。引き寄せられた瞬間中のモノが擦れて声が上がりそうになるのを必死に堪える。
「だあめ。クラウドは俺のなの。いくらあんたでも、クラウドはやらねぇからな」
「ふっ…冗談だ。他人のものに興味等ない」
「嘘吐け…!他人のものほど興味あるくせに!」
べ、とザックスが舌を出してしっし、と犬猫を追い出すように手で払うと、セフィロスは何に満足したのか知らないがご機嫌な様子で部屋を出て行った。まだ心臓がドキドキしている。そして改めて恥ずかしくて穴があったら入りたくなった。そのままザックスの首筋に力なく埋まる。すると、無理やり繋がったまま一度ザックスが立ち上がり、ソファへと押し倒す。
「っ!」
おもいっきり、中に埋まっているザックスの息子が奥を突いてまた声が出そうになった。ザックスが耳元に唇を寄せる。そして囁いた。
「…いくらお前がセフィロス贔屓でもな、お前は絶対誰にもやらない」
真剣な声と色に、またくらくらした。脳髄まで犯される。そう思った。ぎゅ、と同意を示すようにザックスに抱きつく。それとまた同時に、俺は快楽の海へと投げ出された。










結局の所、俺はアンタじゃなきゃダメみたいだ。





(いくら天下の英雄でも、俺の心はアンタだけのもの、喩え、この身が朽ち果てても、アンタだけに首っ丈)